夢現(ユメウツツ)
ゆうき±
現代(うつつ)と異世界(ユメ)
あの夢を見たのは、これで9回目だった。
異世界で殺され、目が覚める。
1度目は異世界召喚されて初回に王族に粗相して処刑された。
2度目は魔王討伐役目を果たそうとした矢先に、貴族の策略で魔王軍幹部が攻めてきて殺される。
3度目は回避するも、貴族の最後の抵抗で殺される。
4度目はそれをも回避したが、追放され盗賊に襲われ死亡。
5度目は王国にばれないように逃亡し、滅ぼされた所でフィオナという村の女性を救うために健闘するも死亡。
6度目は面倒になったので、貴族を闇討ちし回避してフィオナという女性と仲良くなるが、彼女は魔王軍スパイで闇討ちされて死亡。
7度目・8度目はどうしていいかわからず2度目と同じ末路で死亡。
それでこれが9回目の夢だ。
いや、これがもう夢なのかすら怪しい。
現実世界も異世界もどっちも行き来している彼にとってどっちも現実に思えるのだ。
「勇者、やってくれるか?」
「えぇ、お任せください」
彼は既にどうでもよかった。
どうせ死ぬのだ。
王宮を出ていくと、門の前で誰かが待っていた。
長く整えられた朱色の髪と瞳が印象的な鎧を纏った女の子がいた。
「貴方、本当に大丈夫?」
「えっと……」
「おいリン、勇者様に失礼だぞ」
戸惑っていると、近くに居た守衛がリンという少女をたしなめるが、関係ないといった感じで近づいてくる。
「貴方、本当はやりたくないでしょ?」
「………」
勇者は答えない。
何故なら適切だから否定する気もないのだ。
「何とか言いなさいよ!!」
勇者の目を見てリンは睨みつけ掴みかかる。
気が強い女の子だなぁ~っと思いながら、じっと見つめる。
「おい、リン、流石にそれは看過できんぞ!!」
リンに刃を向ける守衛に彼女は舌打ちすると、勇者から手を放す。
「やる気ないなら変わってよ」
彼女はそう吐き捨てると、守衛が捕まえようとする。
恐らくだが、勇者への不敬罪で彼女は処刑されるだろう。
それは、嫌だな……。
「待ってください」
勇者は守衛に声をかける。
「彼女に悪気はないでしょうから、見なかったことにしていただけませんでしょうか?」
「そ、それは流石に……」
「彼女もこの国を思っての事でしょうから、勇者として、お願いします」
「………」
守衛は頷くと、彼女に手錠をかけることなく去っていった。
「何のつもり?」
「別に、僕の事で君が死ぬのは違うと思っただけだよ」
自分が死ぬのなら構わないが、彼のせいで誰かが傷つくのはもう見たくないのだ。
そういうと、彼女は何も言うことなく去っていった。
夢現(ユメウツツ) ゆうき± @yuuki0plus
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