主人公の「俺」は三十歳のときアパートで孤独死する。
目を覚ますと俺はある王国の第六皇子ベルティアに転生している。
前世で孤独に死んだ俺は今度はそうなるまいと誓い、英霊の弟子となって禁術の魔法の習得に励む。
ベルティアは魔法の天才で、その才能は急速に開花する……
主人公のベルティアは中身は三十歳の青年だが、青年らしい怜悧さとともに、常に無垢を失わない少年らしい少年なのがいい。
自分はとくに24話『癒しの炎』に感動した。
小麦アレルギーに苦しむ婚約者の姫を、ベルティアは魔法の炎で治す。
パンが食べられるようになった姫は泣く。
この場面にグッときた。
前世で得た食物アレルギーの知識が、異世界で生かされているのがいい。
「こういう魔法の使い方はいいな」
と思った。
また前世で孤独に死んだ主人公が、他国からやってきた姫の孤独に敏感に気づいているのもいい。
孤独死という前世の悲劇が、異世界でチートな能力だけでなく、主人公の人格的なやさしさとなって昇華しているのがうれしい。
本編は今学園編に突入している。
いろんなキャラクターが出てきて物語がにぎやかになった。
今後の展開が楽しみです。