2025.11.7 walking!外伝 湘南編④

★前回までのあらすじ

思えばここまで、トイレと信号の話しかしていない……

そろそろ真面目に、紀行文っぽくしなきゃ。



                § § §



 ●稲村ヶ崎東側遊歩道~長谷

 稲村ヶ崎公園を横目に進んでいくと、丘をひとつ越えたところで、海へといざなう階段が現れる。


 それこそが「稲村ヶ崎東側遊歩道」の入口だ。

 海に手が届きそうなほど近く、釣り人が糸を垂らす姿も見える――

 そんな鄙びた小道である。

 

 ところが、今日はここも通行止め。

 なんでも、柵が壊れているらしい。


 最近、こうした “小さい道” が封鎖されるケースをよく見かける。

 (三井相模湖線なんかもそう。いい散歩道だったのに……)

 おそらく、どこもインフラ予算が足りていないのだろう。

 散歩主義者サンポァーとしては寂しい限りである。


 それはさておき。


 気を取り直して国道134号を北東へ。

 とにかく海が近くて、潮風が心地よい。

 それでいて、休日であっても人影はまばら。実に良い。

 このあたり、散歩するにはけっこうな “穴場” と言えよう。



 ●由比ヶ浜

 稲瀬川を渡ったあたりから、だんだんと観光客が増えてくる。

 

 ――由比ヶ浜。

 サザンオールスターズのメロディが自然と脳裏に流れる、あの由比ヶ浜である。

 (まあ、湘南地区はどこもかしこもそんな感じだが……)


 しかし、私が語りたかったのは「愛の言霊」ではない。

 トイレについてである。


 この「由比ガ浜海水浴場」に設置された公衆トイレ、無駄に防御力が高いのだ。

 なんだかもう、姫路城の縄張りを彷彿とさせるほど堅牢である。

 (暇な御方は、Googleマップの写真をご覧あれ)


 国道134号から進軍しようとする場合、本丸トイレに至るルートは二つ。

 一つ、九十九折になっているスロープを進むルート。

 二つ、階段で砂浜へ降り、スロープの外側をぐるりと回り込むルート。


 ――つまり、見た目よりずっと遠い。

 膀胱の都合で一刻を争う身としては、実に厳しい。


 モレチャウ・・・・・・モレチャウ・・・・・・

 

 どういう設計思想なのだ、これは!

 責任者出てこい!


 しかし、そんなことを言って高虎とか清正が出てきたら即座に失禁しかねない。

 なので尿意に耐えながら、このトイレの由来についてそっと検索してみる。


 すると、昔の写真が見つかった。

 当初はごくごくシンプルな造りであったようだ。

 国道から階段を下り、一直線に入口へ。

 最短ルートで便器にアクセスできる、実に合理的な動線である。


 ところが2021年、“バリアフリー”の思想に基づいて、スロープが新設された。

 そのことについて、文句をつける気はまったくない。

 むしろ、歓迎すべき工事であったと言えよう。


 だが皮肉にも、そのスロープが “歩行者の最短経路” を塞いでしまったのだ!


 個人的には、スロープの柵の一部をU字柵(徒歩は通れて車椅子は通れないタイプ)に変えれば解決する気がするのだが……どうだろう?


 善意の市民を装って、市役所に投書でもしてやろうかしら。(←やめとけ暇人)




 ――と、しまったぁぁぁぁ!

 またトイレネタで話が終わってしまった!!


 もうすぐ鎌倉に到着するのに……

 次回、次回こそは本格派の紀行文を……


(続く!)

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