最後まで読み終えたあと、「ああ……そういうこと、なのね」と色々と納得。
なるほどなあ、と込められた意味を読み解くことで、ニヤリとさせられました。
主人公は春の季節に「杉野花菜」という少女と再会する。一年ぶりの再会で、彼女のことで頭がいっぱいになる。
その日からはずっと、花菜が彼にとっての全て。部屋の中ではずっと、「濃密」とも言える時間を過ごすことに。
その先に出てくる描写の数々が、もう本当に上手い。
ストレートに読めば、「性描写あり」なタグに沿った内容で、大人びた恋愛模様だな、という風に取れます。
でも、「春の季節」というものを加味した場合、花菜という存在が実は「何かの存在」だったのではないかとも気づかされます。
それにより、彼女との濃密な恋愛模様の描写の数々が、まったく違ったものに変わって行く。
確実に二回は読んでみるのをオススメしたい作品です。
①素直に「春限定の恋愛モノ」として読む。(花菜という少女の魅力を堪能することができます)
②深読みし、「とある現象を美少女化したもの」として読む。(この春の季節の「あるある」をこう表現したか! とニヤリとできます)
一粒で二度美味しい。面白い試みで書かれた作品でした。ミステリー的などんでん返し的にも読むことのできる、爽やかで、かつ、とっても楽しい物語です。