エンジェルデイズ 出張版その3

夢水 四季

天下無双のダンス大会

葉月達が新たな街に入ると、そこら中にポスターが貼ってあった。

「天下無双のダンス大会?」

 ノインがポスターを読み上げる。

「優勝賞金は100万円!」

「ペア部門とソロ部門があるそうね」

「よし、お前ら! この大会出場するぞ! ここで賞金ゲットして旅を楽にしてやる!」

「ペアは身長的に私とノイン、葉月とシアン、ロッソはソロでいくわよ」

 モモちゃんとノインは乗り気だが、葉月とシアン、ロッソは不安そうだ。

「俺達ダンスなんて、したことないよ~」

「初心者」

「私も体育の授業で、まだやってないよ」

「そこは特訓よ!」

「俺も昔、学校で習ったっきりだから思い出しながらやるわ。モモちゃんは何、踊れるの?」

「ワルツにタンゴ、フォークダンス、色々踊れるわよ」

「すご~い!」

「じゃあ、ペア組はワルツ踊るか」

「そうね」

「俺は?」

「ロッソはヒップポップとかがいいんじゃないか?」

 葉月シアンペアの練習方法は、経験者のモモちゃんとノインペアの踊り方を真似する。

 ロッソは葉月のエンジェルフォンを借りて、動画を見ながら自主練習。


 街の公園でダンス練習は白熱していた。

「ステップステップ、そこでターン」


「美しく、優雅に!」


「背筋伸ばして、綺麗に!」


「疲れたね、シアン」

「うん」

 モモちゃんノインペアは仕上がってきていたが、初心者の葉月シアンペアは慣れないダンスに四苦八苦していた。

「何回も足踏んじゃってごめん」

「別に、大丈夫」

「俺も疲れた~」

 自主練から休憩にきたロッソが水をガブガブと飲む。

「頑張ろうね」

「「うん」」


 一週間後。

「葉月もシアンも中々、様になってきたじゃない!」

「天下無双のダンス大会も明日だ。気合入れてこうぜ!」


 ダンスには、それに相応しい恰好をする必要がある。

「葉月、エンジェルフォンからレンタル衣装を出して」

 皆がドレスアップする。

 ノインとシアンはタキシード、葉月とモモちゃんはドレス、ロッソはストリート系ファッションに身を包む。

「こんな正装、久しぶりに着たなあ」

「こんなの初めて」

「ね~、緊張するね」


 天下無双のダンス大会、当日。

 ダンスホールには沢山の人々が集まっていた。

 ダンス審査はワルツならワルツ、と同じ系統のダンスが何組かに分けて踊る。


「それではワルツの方、どうぞ」

 ワルツの優雅な音楽が響く中、葉月とシアン、モモちゃんとノインは踊っている。

(1,2,3、ここでターン、よし、決まった)


「次はストリート系ダンスです」

 ロッソはノリの良い音楽と共に次々に技を決めていく。

 大技のヘッドスピンが決まると会場が湧いた。


「ペア部門優勝はジョー&キャサリンです」

 自分達の名前が呼ばれず、モモちゃんとノインは落胆する。

「残念だったね」

「うん。悔しい」

「続いてはソロ部門です。優勝はロッソさん!」

「えっ、俺⁉」

 ロッソは驚きながら表彰台に向かう。

「はい、優勝の100万円とトロフィー」

 札束とトロフィーを受け取ったロッソは「やったーー!」と叫ぶ。

「よっし! よくやった、ロッソ! これでしばらく野宿ともお別れだぜ」


 優勝賞金で少し高いランクの旅館に泊まることが出来た。

 夕食を食べ終え、布団にダイブする。

「ふかふかのベッドは、やっぱり気持ちいいぜ!」

「ロッソのお陰だね」

「ありがとう」

「へへっ、頑張って練習した甲斐があったぜ」

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エンジェルデイズ 出張版その3 夢水 四季 @shiki-yumemizu

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