無双ストライプのマドンナ【KAC20255】
銀鏡 怜尚
無双ストライプのマドンナ
布団を一気に
この日、
「優勝は当たり前。目指すは完全優勝だ!」
ワールドカップ前の合宿で、監督の
繁村監督が言う『完全優勝』とは、大会中相手に1点も獲らせずに優勝することだ。
男子の侍JAPANに隠れがちだが、女子野球日本代表も強い。過去9回の大会で優勝7回の7連覇中。残りの2回も準優勝という天下無双っぷりだ。
そして、今大会も
グループリーグでは相手を見事0点に封じ込めた。攻撃面においても優れ、二桁得点や5回コールドで勝った試合もあった。
愛琉は、そんな無双のマドンナジャパンにおいて頼れる背番号21の絶対的エース。左投左打。マドンナジャパンのホームユニフォームは、侍JAPANと同じく、MUSO STRIPE(無双ストライプ)と呼ばれる柄。『無双の強さで世界を獲った。日本の人々に刻まれたその無双の記憶は遺伝子となり、次の世代へ受け継がれていく』という意味合いが込められているらしいが、愛琉が着ると、そのコンセプトが具現化する。
なぜなら、愛琉の149km/hのストレートは、女子の投球の最速記録としてギネスに記録された。言わずもがな、他者の追随を許さない金字塔的なスピードだ。
加えて、打者を幻惑するスローカーブに、宮崎の
無論、こんなスピードボールにナックルまで加えられたら、捕るキャッチャーも相当な技術を要求されるが、相棒の
ファイナルステージは、運命の巡り合せか、
そして、いまもなおマドンナジャパンの無双状態は続いている。繁村監督は、ファイナルステージでは愛琉を決勝で完投させ、それまでは温存するという。すなわち、愛琉以外のピッチャーの継投で
本日、決勝戦の相手は、唯一日本以外で優勝経験のあるアメリカ。前回大会では、日本のワールドカップでの連勝記録を途絶えさせたアメリカ。やはり決勝まで勝ち上がってきた。日本が強いと言っても侮れない。
愛琉という女子のスーパースターの登場の
決勝のダイヤモンドを照らす幾多ものカクテル光線は、愛琉にエネルギーを与える。元来、注目されればされるほど、実力を発揮できるのが愛琉だ。
愛琉が、スパイクの裏でマウンドの硬さと
「プレイボール!」
ノーワインドアップ・モーションから、右脚を高く挙げて、テイクバックが小さく球の出どころが見にくいとされる独特で華麗なフォームから、レーザービームのような直球が投げ下ろされる。
「ストライーク!!」
「うおおおおおおお!!!」
会場がどよめく。初球から自己最速を更新して大台に乗せる150km/hのストレート。アメリカチームの
今日、ひなたサンマリンスタジアム宮崎まで足を運んだ観客はラッキーだ。
このあと愛琉は、強豪にして宿敵のアメリカ代表相手に、背番号と同じ21個もの三振を奪い、完全試合を成し遂げる結末は、さすがにどのメディアだって想像し得なかったことだろう。
マドンナジャパンの天下無双の歴史に、また1つ刻まれた瞬間だった。
無双ストライプのマドンナ【KAC20255】 銀鏡 怜尚 @Deep-scarlet
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