全編を通り、ぞわぞわと迫ってくるホラー作品でした。
「布団子(ぬのだんご)」。名前だけ聞くと、「ふとんこ」とか読んでしまいそうな、ちょっとほのぼのした響きのある言葉です。
しかし、それはある恐ろしい降霊術の儀式となっていた。
主人公は友人の藍子と一緒にその儀式を実行する。「ミタラシ、カケマシ」と呪文を唱え、読者はここで、「あ、みたらし団子?」と少しほのぼのした感じも味わうことに。
でも、そこから落差としてやってくる不気味な雰囲気。それがじわじわと二人のいる状況を侵食していき、最後には「ある恐ろしい」秘密が見えてきます。
布団子の本当の意味とは。この一見可愛らしいような言葉の裏にあるおぞましさ。
歴史の中に隠蔽された闇。現代まで歪んだ形でのみ語り継がれてきた「禁忌」。
正体不明だが、とにかく不穏な何かが突き詰められて行き、ゾワっと来るラストを与えてくれます。