銀髪村娘と砲金のドナーブッセ KACバージョン5
土田一八
第1話ダンスは布団の上でも天下無双だニャ
ある晩。ルーメアの部屋。ルーメアは出かけていた。
ルーメアのペットとして養われている白い仔猫のミアは、シャルロッテと絵本を読みながら遊んでいた。タイトルは『ウサギたちの競争』で、5羽いるウサギの仲間のうちで誰が一番速いとか、勇敢だとか、賢いとか、そういう類のお話である。
ウサギたちがジャンプしてジャンプ力を競う場面があった。
しかし、ジャンプといってもいろいろある。例えば垂直に飛ぶとか、助走をつけて飛ぶとか、決まった時間内でどれだけ飛べるとかである。
そして、競争が終わり、宴が催されてウサギたちはダンスをして親睦を深める。というところでお話は終わる。
絵本を読み終わったシャルロッテはミアに質問した。
「ねえ、ネコはどのくらいジャンプできる?」
「ジャンプか。愚問だな」
ミアはぴょんと床から窓のところに助走なしでジャンプして見せる。
「おおー」
と、シャルロッテに言われるのをミアは期待する。
「ネコはそのくらい、ふつーじゃないの?」
7歳のシャルロッテは、思いがけない辛辣発言をする。
「にゃ、にゃんと?」
ミアに衝撃が走った。くそ。こいつ生意気だにゃ。そう思いながらもミアは次を考える。
「にゃ、にゃんだら…」
ミアはひょいと床に降りると、今度は暖炉の上段に飛び乗った。
「ふん。どうだにゃ?」
「ふつーだね」
シャルロッテはつまらなそうなコメントを口にした。ミアのプライドがふつふつと沸き上がって来る。
「こ、このぉ…」
今度は本棚の上に飛び乗る。
どさどさどさ。
本が床に落ちたが、構っていられる心理的余裕は、もはやミアに残ってはいなかった。というより吹き飛んでしまった。
「ふん。どうだにゃ?」
「ネコが本棚の上に上がるのは、当たり前でしょ?」
シャルロッテは吐き捨てるように言った。
「にゃんだとぉ?」
怒ったミアはシャルロッテを追いかけまわす。
きゃあきゃあ、どすんどすん。
「何か、騒がしいわねぇ?」
留守番でヴィクトーリアは下の部屋にいた。そしてヴィクトーリアは上にあるルーメアの部屋に行くと…。
シャルロッテとミアはベットの上でダンスをしているかのように取っ組み合いのケンカをしていた。
「天下無双のおれさまにケンカを売るとは百年早いにゃ‼」
「へーんだ!仔猫に負ける訳がないでしょう!」
「あ、あなたたち…」
ヴィクトーリアは事の有様を見て絶句する。
「ただいまぁ。イイコにしてたか?」
その時、ルーメアが帰って来た。
万事休す。その後で、シャルロッテとミアは布団で箕巻きにされ、ダンスをさせられた。
「では、天下無双とやらの踊りを見せてもらおう」
ルーメアは怒りの鬼神と化していた。
「ひっ⁉」
シャルロッテとミアは恐怖におののく。
「よし。島原式に行こうか…ロットフランメ!」
ルーメアはおもむろにドーラをぶっぱなすと布団に火が点いた。
あちちちっ⁉
ミアの布団に火が点いてミアは飛び跳ねる。
「シャロ。お前もアレをやりたいか?」
シャルロッテは首を横にぶんぶん振る。
「もう、二度とすんなよ?」
シャルロッテは縦に首を振る。ヴィクトーリアはルーメアの合図を受けてミアの布団に点いた火を水魔法で消した。
完
銀髪村娘と砲金のドナーブッセ KACバージョン5 土田一八 @FR35
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます