世界の変化
そして駅を出て病院へ一緒に向かうのかと思ったがそうではないようで静かな公園に行くとカリンはスマートフォンで連絡を取っているようだった。
「ねぇ、本当に病院に行かなくていいの」
俺は心配で聞くがカリンは首を振って答えた。
「病院って回復魔法が使えるんだからこんな打撲ぐらい自分で治すわよって……そうだツバサの傷を治さないと」
そんなファンタジーでしか聞かないような事をカリンは言った。
『ヒール』
そうカリンが唱えると手から緑の粒子がこぼれだし打撲したところへとその粒子が流れ込みはじめる。
粒子が当たったところは暖かく感触はくすぐられているようだった。
ヒールは肉体を無理に治すのだから激しい痛みが伴うとかではなくて良かったがくすぐったすぎて声が出てしまいそうだ。
「んっ、んっ、あっ。カリンこれいつになったら終わるの」
カリンが必死にやってくれているのに催促するようで申し訳なかったがくすぐったすぎて声が出てしまったのでこれを聞かれるのは恥ずかしいとどのくらいで終わるのか聞いた。
すると俺の声に反応したのか肩をビクリとさせたがこちらを見ることはなく一生懸命やっているようだったのでこれ以上は言わないことにした。
「はい、これで終わり」
そうぶっきらぼうに言って俺を治し終わるとそそくさと俺から少し離れて自分へとヒールをかけていた。
俺は本当に治ったのかと少し身体を動かすがなんなら傷を負う前の状態より身体が動いていた。
「凄い、これ俺にも使えるのかな」
ヒールという魔法を見てテンションが上がった俺は思わずカリンの肩を掴み顔を近づけた。
「ち、近いわよ」
そうするとカリンは少しうわずった声でそれだけ言うと顔を真っ赤にして伏せ黙り込んでしまった。
貞操逆転世界とはいえ一応俺たちは家族な訳だし、男だから好感度マックスという訳にはいかないか。
「ごめん、嫌だったよな急に男に掴まれて顔近づけられたら」
カリンに俺は頭を下げた。
回復魔法を教えてもらいたかったがこうなっては次の機会をうかがうしかないそんな空気であった。
それにしても、さっきからファンタジーみたいな事ばっかり起きてるしカリンが呪文を唱えて怪我を治しちゃうしもう何が起きても不思議じゃないな。
とはいえこの世界の事を把握しないといけない流石に今までの世界と違いすぎることはどんなに鈍感だろうと分かる。
なので俺のスマートフォンでこの世界の事を調べた。
そして調べていくうちに俺はどういう訳がダンジョンが現実に現れ、そこから男性が生まれなくなり人類はほぼ女性だけになってしまった世界にきてしまったことが分かった。
なのでこの世界の常識として先ほどのような力が正義のような風潮が生まれ、ダンジョンから魔物が溢れないようにする為に国のリソースを割きすぎて全てに対して自衛が求められる世の中になってしまったようだった。
そしてそんな命と隣合わせな世界で男性が居なくなったことで女性の少ない男性との接触機会で子孫を残せるようにと性欲の増加と魔物と戦う為の体格を得たようだった。
それとは逆に男は種の保存の為にどんどんと大事に囲われていくようになり体格は小さく筋力も女性に比べてつきにくくなっていった。
という事はさっきみたいに俺は毎回襲われるのかと思い少し青ざめたが何度もいうようにあれはカリンに手を出したからそんな気分じゃなくなっただけでそうじゃなければ普通に学校がとか言いながらもひょいひょいついて行ってただろうしこちらとしても構わないのでドンドンきて欲しい。
でもさっきみたいに暴力的にならなければ俺としてもやぶさかではないなこの世界じゃ俺男だしよりどりみどりかも。
そして俺が話を聞いて1番ワクワクしたのはダンジョンの存在だ。
やっぱり男はおっぱいとファンタジーがいつになっても好きなのだ。
後でダンジョン行ってみたいなー、でも男1人でいったら他の攻略中の女性と鉢合わせてダンジョンどころじゃなくなるだろうから仮面でも作ろうかな。
そう俺が考えていたところでこの公園の静寂を破るような大声でこちらに向かってくる女性の姿があった。
「ツバサちゃーん、大丈夫なのー」
それは俺を襲いに来るさっきの女性のような人ではなく現在の俺の母親である志乃マリだった。
この世界線に変わる前から出るところは出ている抜群のプロポーションだったがこの世界のせいだろうか身長も2メートルと大きくなっているし、それに伴って全てがバルンバルンと揺れている。
うぉ、スゴイ……。
あれ、じゃあ何でカリンはそのまま変わっていないんだとマリさんの姿を見て俺は思った。
この世界の影響をマリさんが受けているならカリンも受けて居ないとおかしいのに不思議とそのままだった。
不思議といっても男が弱くなったはずのこの世界で感覚的に俺の身体にも変化はないし特に理由はないのかも知れないけど。
「大丈夫ですけど苦しいですよマリさん」
俺はそのマリさんの胸部で溺れそうになり、いわゆる今の貞操逆転世界では俺の方が力が強かったのだが今はギュギュッと動けないように抱きしめられていた。
「マリさん、じゃなくてお母さんかママかマリって呼んでマリさんじゃ他人みたいじゃない」
抱きしめられて心配そうに俺の顔を覗きながら喋るのでドキリとして言葉に詰まったがマリさんの言うことはもっともだ。
家族なのに他人行儀は良くない。
でもママはちょっと恥ずかしいし、呼び捨てはマリさんには夫のサトルさんがいるので違うような気がして消去法でお母さんと呼ぶことにした。
「じゃあ……お母さん、俺は大丈夫だから今は回復魔法で大丈夫みたいだけどカリンの方が重症だったしそっちを心配してあげて欲しい」
するとマリさんは首を振り小声で教えてくれた。
「あの子も女の子何だからそのくらいで母親に心配されるところを男の子に見られたくないのカッコつけたいお年頃なのよ。もちろん心配じゃないわけではないんだけどね、それにひいき目かも知れないけど回復魔法だけなら日本で十本の指に入る腕前だと思うから大丈夫よ」
マリさんに言われて俺も女の子の前では親に心配されているところは恥ずかしいし、カッコつけれなくなるから止めて欲しいと言うだろうと思ったのでこれ以上何も言わない事にした。
回復魔法に関しては確かに俺は骨が確実に折れていただろうにすぐに治してしまったし他の人に回復魔法を使われたことがないので比較対象がいないがマリさんの言う通りかも知れない。
「それじゃ車で家に送るから乗っちゃいなさい」
「今日は学校行かなくていいんですかお母さんにもサトルさん……、いや今のお父さんにも申し訳ないです」
俺は志乃家の夫婦にけして少なくないお金を出してもらっているので休むのはどうかなと思い聞いた。
するとマリさんは不思議そうな顔をして言った。
「ツバサちゃんは男の子なんだから学校なんて行った事ないでしょ。それにサトルって誰なのツバサちゃんは親友に託された大事な子だし、私は結婚じゃなくて人工授精でカリンを産んだのだけど」
何と驚くべきことに俺は学校にも通っておらずほとんど家の中で生活を生活を送っていたみたいだけ。
そして俺の亡くなった父に代わって育ててくれていたサトルさんの存在が消えていた事に驚く。
そんなサトルさん……。
それにまさか俺が学校に通っていないっていう事は学校での男友達も軒並み存在がなくなっていたりするのか。
だが行くことも出来ない学校の事を考えてもしょうがないが少し落ち込んでしまう。
するとその様子をみたマリさんが勘違いをして泣きながら最初のハグより強く抱きしめた。
「ごめんね、辛かったわよね。カリンはあんなことしないけど女に乱暴にされて。もう家から出ないようにしましょう、そうしましょう。それに3匹のメス豚だったかしらそいつらの息の根を止めてきてあげるからね」
そうまくしたてるように言い、俺を襲った『3匹の狂犬ケルベロス』をそんな風に罵るくらいに怒っていた。
俺としては女に力負けしたことが悔しいとしか思っていなかったのでこんなに怒ってもらわなくていいし、ダンジョンに行ってみたいので家から出られないのは困る。
でも前の世界でいうなら自分の娘が複数の男に性的に襲われそうになったってことだからここまでなっちゃうのも仕方ないか。
普段はとても優しく汚い言葉を使わないマリさんのメス豚という言葉を聞いて驚いた俺であったがそう考えるとしょうがないと思った。
そして俺から言わせれば過保護すぎるほど男が守られている世界でダンジョンに行きたいのですがといってもマリさんが受け入れる訳がないと思った俺は後でこっそりと家を抜け出して行ってみようと思うのだった。
そしてマリさんがそう言ったので通ってもいない学校に行くわけにもいかないし俺の行きたいところはダンジョンだったのでカリンと一緒に家まで帰ることにした。
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