第26章:闇の王との対決

 エリオスとリナは《星の神殿》を後にし、ついに最後の決戦へと向かっていた。


 神殿の守護者によって告げられた場所――《闇の王の城》。それは世界の果て、永遠に太陽の光が届かぬ暗黒の地にそびえ立っていた。


 黒雲が空を覆い、雷が轟く。大地は枯れ果て、瘴気が漂っている。まるで世界そのものが《闇の王》の力によって支配されているかのようだった。


 「いよいよ、ここまで来たな……」エリオスは《星渡の剣》を握りしめた。


 「……怖くないの?」リナが小さな声で尋ねる。


 エリオスは微笑んだ。


 「怖くないと言ったら嘘になる。でも、俺はもう迷わない。父さんの意思を継ぎ、王国の無念を晴らし、みんなの未来を取り戻す。それが《星を渡る者》としての俺の使命だから」


 リナは少し驚いたようにエリオスを見つめた後、力強く頷いた。


 「私も、最後まで一緒に戦うよ!」


 二人は覚悟を決め、暗黒の城の門へと向かった。


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決戦の刻

 城の内部は、まるで異世界のようだった。


 黒い霧が漂い、壁や天井には不気味な紋様が刻まれている。遠くから呻き声のような音が聞こえ、冷たい空気が肌を刺した。


 「気をつけろ……何かがいる」


 エリオスが剣を構えた瞬間――


 ズズズズ……!


 闇の中から無数の影が現れた。それは、《闇の王》に仕える魔獣たちだった。


 「来るぞ!」


 魔獣たちは一斉に襲いかかってきた。しかし、エリオスはすでに覚醒していた。《星渡の剣》を振るうと、星の光が閃き、魔獣たちを次々と切り裂いていく。


 リナも魔法で応戦し、二人は敵の群れを突破しながら城の奥へと進んでいった。


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闇の王、降臨

 ついに最奥の玉座の間へとたどり着いた。


 そこに待っていたのは、一人の男だった。


 漆黒の鎧をまとい、長い黒髪をなびかせる男。その瞳には、底知れぬ闇が宿っている。


 「お前が……《闇の王》か」エリオスが剣を構えた。


 「ふふ……よくぞここまで来たな、《星を渡る者》よ」


 低く響く声が、まるで空間そのものを震わせた。


 「だが、お前が来たところで、この世界は変わらぬ。闇はすでに全てを飲み込み、星の光は消え去る運命なのだ」


 エリオスは力強く叫んだ。


 「違う! お前がいる限り、世界は闇に支配される! 俺は、お前を倒して未来を取り戻す!」


 闇の王は嘲笑した。


 「ほう……ならば、その力、見せてみるがいい!」


 その瞬間、城全体が揺れ動き、闇の王の周囲に黒い炎が渦巻いた。


 ついに、最終決戦の幕が上がった――。

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