第25章:星を渡る者の覚醒
エリオスの意識は深い光の中へと引き込まれた。
気がつくと、彼は無限に広がる宇宙のような空間に立っていた。そこには地面もなく、ただ星々が瞬いているだけだった。
「ここは……?」
すると、目の前に再び光が集まり、一つの人影を形作った。
それは――星の王の姿をした男だった。
長い青銀の髪、まばゆい光をまとった衣。そして、どこか懐かしさを感じる眼差しでエリオスを見つめていた。
「エリオス……」
その声は優しく、しかしどこか悲しげだった。
「あなたは……星の王?」
「そうだ。そして、私はお前の血の中に流れるものでもある」
エリオスの心臓が強く鼓動した。
「どういう意味だ?」
星の王は静かに微笑んだ。
「お前の父は、私の最も信頼する戦士だった。そして、お前の中には私の力が受け継がれている」
「俺の中に……星の王の力が?」
エリオスは驚きを隠せなかった。
「お前は、この世界を救う者として選ばれた存在だ。しかし、その力を真に覚醒させるには、試練を乗り越えねばならない」
すると、星の王の手が輝き、エリオスの目の前に剣が現れた。
それは、光と闇が交じり合う不思議な剣だった。
「この剣は《星渡の剣》。星の力を操る者にしか扱うことはできぬ」
エリオスはゆっくりと剣を手に取った。その瞬間、彼の中に熱い光が流れ込んでくるのを感じた。
「この剣を手にした今、お前は完全に《星を渡る者》となった。だが、まだお前の戦いは終わっていない……いや、ここからが本当の始まりだ」
星の王の声が次第に遠くなる。
「待ってくれ! まだ聞きたいことが――!」
エリオスが叫ぶと、強い光が視界を覆い、次の瞬間、彼は意識を取り戻した。
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覚醒した力
エリオスが目を開けると、そこは元の神殿だった。
「エリオス!」
リナが駆け寄る。
「お前、大丈夫か?」
エリオスは息を整えながら立ち上がった。そして、自分の手の中にある剣を見つめる。
それは、夢の中で受け取った《星渡の剣》だった。
「……俺は、覚醒したんだ」
彼の瞳はかすかに光を帯び、体から星の力が湧き上がっていた。
守護者が微笑みながら頷く。
「これで、お前は本当の意味で《星を渡る者》となった。……だが、最後の試練が待っている」
「最後の試練?」
「《闇の王》を倒すことだ」
エリオスは静かに剣を握りしめた。
「……俺は、もう迷わない」
そして、エリオスとリナはついに神殿を後にし、《闇の王》が待つ最終決戦へと向かうのだった――。
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