第19代帝王 シトリウス10世
人名 = シトリウス10世
各国語表記 = Citorius X
代数 = 第19代
在位 = 3437年11月9日 - 3440年2月10日
継承者 = マルス1世
シトリウス10世(ノ:Citorius X)は、世界秩序ノヴァの19代ノヴァ帝王(在位:3437年11月9日 - 3440年2月10日)。旧名は岡山由紀。
勤勉な努力家であり、第一八回帝王科挙で優秀な成績をおさめて即位した。しかし、優柔不断な性格であり、自己肯定感が著しく低かったため、彼の政策は当時対立していたノヴァ行政府とノヴァ貴族との間で右往左往し、混乱を拡大した。3440年2月10日に自殺。彼の混乱した統治が、ノヴァ時代最初の大規模な内乱を生んだとされている。
== 生涯 ==
=== 即位前 ===
岡山は大戦乱時代最末期にレフタ大陸に移住した天昌人の家系に長男として生まれた。岡山家は非常に厳格な家庭として知られ、両親は彼とほとんど口を聞かず、幼少期の岡山は大きな孤独を味わった。幼年学校に入学して間もないころ、定期試験で好成績を収め表彰された際に、父親に褒められると、テストで好成績を取ることが彼にとっての家族との交流の唯一の手段であると思い、日々の勉学が生きがいとなった。また、勉学に限らず他者に奉仕することに積極的であり、最終学年では3つの委員会と5つの部活動を兼任し、8つのボランティア活動に従事していた。彼の勤勉な性格は、ひねくれた性格を持つ一部の者によって悪用され、他人の働いたいたずらに対して自身がやったと申告したり、他人の宿題やノルマを肩代わりしたりもしていたが、これは彼自身にとって苦痛ではなく、寧ろ喜びだったとされている。
大学卒業後は世界公務員試験に合格し、ジェニュラ属州の総督府に勤務した。当時、世界は"厳格帝"シトリウス9世の治世のただなかであり、勤勉な性格であった岡山は総督府内でも重宝され、みるみる位階を上昇させたが、これには少なからぬ仕事仲間の作業の肩代わりや連日数時間にわたる残業という代償が必要だった。しかし、先述の通り岡山本人にとってこれは苦痛などではなく、寧ろ喜びだったのである。
3437年9月にシトリウス9世が崩御すると、岡山を高く評価していた友人の一人が、彼に帝王科挙の受験を勧めた。岡山はこれに乗り気ではなかったものの、断ったら相手を失望させることになると感じ受験した。謹厳実直な性格であった先帝が中心となって作成した帝王科挙試験は、岡山の思考にリンクする部分が多く、高得点を記録することとなった。この結果を受けて、当時世界統治を牛耳っていたノヴァ貴族が岡山の素行調査を実施したところ、自らを犠牲にして他者の期待に応えることに喜びを見出す性格であることが判明し、ノヴァ貴族はほとんど全会一致で岡山の即位を決めた。こうして岡山はシトリウス10世として即位した。
=== 在位 ===
ノヴァ貴族の期待通り、シトリウス10世は傀儡として御しやすく、ノヴァ貴族はこれを利用して世界統治のための権限を拡大させた。しかし彼らが想定していなかったことに、シトリウス10世はノヴァ貴族に従順であるのと同じくらい行政府にも従順だったのである。ノヴァ貴族に従い、彼らに都合の良い政策を乱発する一方で、ひそかに行政府とも通じ、行政府の提案する政策をことごとく承認していた。行政府の提案する政策にはノヴァ貴族の権力の縮小も含まれたため、ノヴァ貴族がいくら帝王をそそのかして便宜を図っても、彼らの権力が上昇することは無かった。シトリウス10世はこうしてノヴァ貴族や行政府から提案された政策を実施することには熱心だったものの、これらの勢力が互いの言うことを無視するよう要請すると、やんわりと拒絶した。これには、片方の完全な言いなりとなってもう一方を無視するという行為に良心の呵責を感じていたとされている。
結果的に、彼の政策は右往左往を繰り返し、世界統治は混乱を極めた。そもそも真逆の主張を繰り返す行政府とノヴァ貴族両者に好まれ続けることは不可能であり、治世の晩年には両勢力からの罵詈雑言に精神を病み、3440年2月に自殺した。
== 評価 ==
=== ホノリウス12世の評価 ===
世界帝王の研究で知られ、自身も68代帝王であったホノリウス12世は、自著『帝王列伝』でシトリウス10世を以下のように評した。
「彼が人生であげた最大の功績は、帝王科挙で優秀な成績をおさめたことである。試験会場には彼のメンタルを揺さぶる有象無象が存在しなかった。公文書館に収められている彼の答案用紙を見るに、周囲が彼を肯定していれば最初の内乱は未然に防げた気がしてならない。
ーホノリウス12、『帝王列伝』
=== モンガイ・ノリミツの評価 ===
『天昌全史』を著したモンガイ・ノリミツは、「天昌が生んだもの」の章でシトリウス10世について触れ、以下のように評した。
「彼の嫌われたくないという思考は、幼稚で近視眼的であると言わざるを得ない。彼が嫌われることを恐れ混乱した統治を行ったせいで、行政の支援が行き届かず、飢えや渇きによって死んでいった者も少なからず存在した(イシュロア飢饉のことを指していると考えられている。)。こうした人々の死も、元をたどれば「嫌われたくない」というシトリウス10世の思想に起因するのである。」
ーモンガイ・ノリミツ、『天昌全史』また、このような短絡的な他者への奉仕を望む発想は、天昌人の大きな悪癖であるとも書いている。
== 脚注 ==
=== 注釈 ===
== 関連項目 ==
シトリウス9世 ← 3437 - 3440 → マルス1世
代数 人名 即位年 退位年 在位年間
1 ノヴァ大帝 3203 3225 22
2 シトリウス1世 3225 3239 14
3 メルクリウス1世 3239 3243 4
4 シトリウス2世 3243 3256 13
5 シトリウス3世 3256 3270 14
6 ホノリウス1世 3270 3281 11
7 レガリス1世 3281 3283 2
8 シトリウス4世 3283 3298 15
9 メルクリウス2世 3298 3300 2
10 シトリウス5世 3300 3319 19
11 ホノリウス2世 3319 3340 21
12 シトリウス6世 3340 3363 23
13 ホノリウス3世 3363 3382 19
14 メルクリウス3世 3382 3395 13
15 レガリス2世 3395 3413 18
16 シトリウス7世 3413 3419 6
17 シトリウス8世 3419 3424 5
18 シトリウス9世 3424 3437 13
19 シトリウス10世 3437 3440 3
20 マルス1世 3440 3446 6
21 ホノリウス4世 3446 3453 7
22 シトリウス11世 3453 3462 9
23 メルクリウス4世 3462 3470 8
24 メロス 3470 3477 7
25 アポロ1世 3477 3478 1
26 メディクス 3478 3484 6
27 シトリウス12世 3484 3484 0
28 ホノリウス5世 3484 3486 2
29 シトリウス13世 3486 3507 21
30 メルクリウス5世 3507 3508 1
31 シリウス 3508 3513 5
32 エデュカトル 3513 3514 1
33 バルカン1世 3514 3539 25
34 シトリウス14世 3539 3542 3
35 ホノリウス6世 3542 3563 21
36 シトリウス15世 3563 3565 2
37 バッカス 3565 3565 0
38 オリンピア 3565 3577 12
39 バルカン2世 3577 3580 3
40 シトリウス16世 3580 3585 5
41 マルス2世 3585 3594 9
42 ホノリウス7世 3594 3627 33
43 アグリカ1世 3627 3657 30
44 アグリカ2世 3657 3669 12
45 シトリウス17世 3669 3674 5
46 ホノリウス8世 3674 3688 14
47 ハルバ1世 3688 3700 12
48 レガリス3世 3700 3720 20
49 メルクリウス6世 3720 3731 11
50 メルクリウス7世 3731 3736 5
51 レガリス4世 3736 3750 14
52 マルクス 3750 3763 13
53 マルス3世 3763 3781 18
54 ホノリウス9世 3781 3784 3
55 ペルセウス 3784 3804 20
56 バルカン3世 3804 3812 8
57 ヘラクレス 3812 3843 31
58 オリハルコン 3843 3870 27
59 シトリウス18世 3870 3887 17
60 ホノリウス10世 3887 3919 32
61 ハルバ2世 3919 3926 7
62 クロノス 3926 3947 21
63 シトリウス19世 3947 3977 30
64 ヘルメス 3977 4004 27
65 ホノリウス11世 4004 4015 11
66 アポロ2世 4015 4046 31
67 シトリウス20世 4046 4069 23
68 ホノリウス12世 4069 4105 36
69 メルクリウス8世 4105 4113 8
70 ハルバ3世 4113 4134 21
71 ハルバ4世 4134 4170 36
72 ホノリウス13世 4170 4202 32
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます