第18代帝王 シトリウス9世
人名 = シトリウス9世
異名 = 厳格帝
各国語表記 = Citorius IX
代数 = 第18代
在位 = 3424年8月26日 - 3437年9月9日
シトリウス9世(ノ:Citorius IX)は、世界秩序ノヴァの18代ノヴァ帝王(在位:3424年8月26日 - 3437年9月9日)。
その性格から厳格帝(げんかくてい)と呼ばれた。
== 概要 ==
3424年にシトリウス8世の退位に伴う帝王科挙にて帝王に即位した。非常に厳格な性格の持ち主として知られ、芸術や娯楽を毛嫌いしていたほか、ダジャレやジョークを言うのもタブーであった。シトリウス9世の前でダジャレやジョークを口にすると、降格や僻地への転勤を命じられるため、彼と会話を交わす者は常に極度の緊張を強いられ、18年に及ぶ治世の中で、24回も帝王補佐官が交代している。帝王補佐官は一人の帝王につき一人が専従で務めるのが一般的であったため、この数字は彼の異常性を端的に表しているといえる。
3425年の即位一周年記念式典において、ノヴァ帝公爵である山本満天卿が一九音六線の演奏を行った際には、退屈そうに聞き流した末、「で、いまの要点は何だね?」と問い、周囲を凍り付かせている。
3435年の初頭に、身体の異常を訴え、帝王医務官による精密検査を行わせた。しかしその際には異常は一切見つからなかった。それ以降もたびたび動機や息切れを訴え、そのたびに精密検査を行わせているが、異常が見つかることは一度もなかった。すべてを理解することを旨としていたシトリウス9世はこの理解不能な症状に精神を病み、急速に衰弱し、3437年の9月9日に崩御した。
== 評価 ==
ノヴァ帝王の研究者であり、自身も68代帝王であったホノリウス12世は、著書『帝王列伝』でシトリウス9世の死因は恋愛であるとする説を提唱している。ホノリウス12世は、シトリウス9世の謎の病状を明らかにするため、身体異常が報告された日のシトリウス9世の行動を調査し、集計した。その結果、異状が報告された日はノルビア属州総督との面会日の当日かその前後に集中していたのである。当時のノルビア属州総督はルナ・エルフェアという女性であり、彼女が総督に就任したのは3435年だった。
「複雑怪奇とされている彼の精神構造は、理解できないものを嫌うという一点において共通している。彼が得意とした政治や行政の仕事はすべて論理的に理解できるものだったが、芸術や娯楽の面白さは論理では理解できない。それこそが、彼がそうしたものを嫌悪した理由なのである。そしてまたそれは恋愛も同じであった。彼はおそらく精神の深奥でルナ・エルフィエなる人物に恋をしたのだろう。そしてそれに伴う身体反応が動機や息切れとして表出したのだ。しかし、彼の脳の中心を占める理論では、恋愛は理解不能であった。病気以外の理由で、ましてや恋愛などという理由で自身の体に異常が起きるなど、彼には思いもよらなかった。これが彼の死因である。」
ーシトリウス12世、『帝王列伝』
なお、『帝王列伝』のシトリウス9世について記述された章には、確認されているだけで154ものダジャレ、ジョーク、言葉遊びが隠されている。これは、シトリウス9世の性格を皮肉ったホノリウス12世による高度なギャグと推測されるが、そのほとんどが非常に寒く、一部は理解不能であったため、後世の研究者からは冷笑され、ホノリウス12世はジョークが下手であると結論付けられる根拠となった。
また、この学説が世間に流布すると「ルナ・エルフェアとは何者か?」という問いで世間は持ちきりとなった。非常に厳格な性格で知られたシトリウス9世の心を射止めることができたのだとすれば、それは絶世の美女だったに違いないという意見が存在する一方、異常ともいえる性格を持つシトリウス9世の女性の好みは、世間一般のものとは大きく乖離しており、一般人が見ても魅力を感じないのではないかとする説もある。仮にエルフェアが絶世の美女だった場合、何らかの絵画や記述が残される可能性が高いため、前者である可能性は低いとされている。また、エルフェアは女装した男性、または女性に似た容姿を持つ男性だったとする説も一部界隈で根強く聞かれるが、学会は「腐っている」とその説を一蹴している。
ノヴァーラ文学の代表的作家であるモニョ・オエッは、シトリウス9世に関して以下のような記述を残している。
「世界帝王の権力は絶対であった。もしシトリウス9世が望めば、一介の属州総督など、たやすく配偶者にできたに違いない。それをただひたすら心を病むだけで何もしないとは、なんと情けないことか!厳格帝の精神はピュアな少年であったのだ。」
ーモニョ・オエッ、『童貞人生』
==脚注==
===注釈===
== 関連項目 ==
シトリウス8世 ← 3424 - 3437 → シトリウス10世
代数 人名 即位年 退位年 在位年間
1 ノヴァ大帝 3203 3225 22
2 シトリウス1世 3225 3239 14
3 メルクリウス1世 3239 3243 4
4 シトリウス2世 3243 3256 13
5 シトリウス3世 3256 3270 14
6 ホノリウス1世 3270 3281 11
7 レガリス1世 3281 3283 2
8 シトリウス4世 3283 3298 15
9 メルクリウス2世 3298 3300 2
10 シトリウス5世 3300 3319 19
11 ホノリウス2世 3319 3340 21
12 シトリウス6世 3340 3363 23
13 ホノリウス3世 3363 3382 19
14 メルクリウス3世 3382 3395 13
15 レガリス2世 3395 3413 18
16 シトリウス7世 3413 3419 6
17 シトリウス8世 3419 3424 5
18 シトリウス9世 3424 3437 13
19 シトリウス10世 3437 3440 3
20 マルス1世 3440 3446 6
21 ホノリウス4世 3446 3453 7
22 シトリウス11世 3453 3462 9
23 メルクリウス4世 3462 3470 8
24 メロス 3470 3477 7
25 アポロ1世 3477 3478 1
26 メディクス 3478 3484 6
27 シトリウス12世 3484 3484 0
28 ホノリウス5世 3484 3486 2
29 シトリウス13世 3486 3507 21
30 メルクリウス5世 3507 3508 1
31 シリウス 3508 3513 5
32 エデュカトル 3513 3514 1
33 バルカン1世 3514 3539 25
34 シトリウス14世 3539 3542 3
35 ホノリウス6世 3542 3563 21
36 シトリウス15世 3563 3565 2
37 バッカス 3565 3565 0
38 オリンピア 3565 3577 12
39 バルカン2世 3577 3580 3
40 シトリウス16世 3580 3585 5
41 マルス2世 3585 3594 9
42 ホノリウス7世 3594 3627 33
43 アグリカ1世 3627 3657 30
44 アグリカ2世 3657 3669 12
45 シトリウス17世 3669 3674 5
46 ホノリウス8世 3674 3688 14
47 ハルバ1世 3688 3700 12
48 レガリス3世 3700 3720 20
49 メルクリウス6世 3720 3731 11
50 メルクリウス7世 3731 3736 5
51 レガリス4世 3736 3750 14
52 マルクス 3750 3763 13
53 マルス3世 3763 3781 18
54 ホノリウス9世 3781 3784 3
55 ペルセウス 3784 3804 20
56 バルカン3世 3804 3812 8
57 ヘラクレス 3812 3843 31
58 オリハルコン 3843 3870 27
59 シトリウス18世 3870 3887 17
60 ホノリウス10世 3887 3919 32
61 ハルバ2世 3919 3926 7
62 クロノス 3926 3947 21
63 シトリウス19世 3947 3977 30
64 ヘルメス 3977 4004 27
65 ホノリウス11世 4004 4015 11
66 アポロ2世 4015 4046 31
67 シトリウス20世 4046 4069 23
68 ホノリウス12世 4069 4105 36
69 メルクリウス8世 4105 4113 8
70 ハルバ3世 4113 4134 21
71 ハルバ4世 4134 4170 36
72 ホノリウス13世 4170 4202 32
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます