【KAC20255】冬の朝は布団がわたしを離してくれないっ!
つきレモン@カクヨム休止中
冬の朝の出来事
最近話題の、ダンサーがいる。
そのダンサーはなんと女子高生。
若い中高生に人気で、憧れの的となっている彼女。その実力はまさに天下無双だ。
明るく無邪気なその笑顔は世界中の人々を虜にしていた。
そんな彼女に、今ピンチが訪れていた。
「わーヤバいっ!! 遅刻しちゃうー!!」
冬の寒い空気に満たされる部屋で、小森
そう、今日は朝早くからダンスレッスンがあったのだ。
でも舞姫はとにかく朝が大嫌い。それも、冬の朝。
三度の飯より昼寝! をモットーに、毎朝布団から出てくるのは一般よりも少し遅め。
今日は一時間前に一度起きたのだが、寒い中布団から出ることができずに二度寝してしまったのだ。
「うー……! どうしよう! なんて言い訳しようかな……! ……はー、寒い寒い……」
急いで服装を整えて、かがみをみる。そして時計を見上げた。
うん、このまま自転車をかっ飛ばしても遅刻になっちゃう……!
お母さんに送ってもらおうかとも思ったけど、今日は両親そろって家にいないことを思い出す。
「うわあー! サイアク! とにかく自転車だ! 言い訳を考えよう!」
ダンスレッスンの会場までは、自転車でも20分かかる。
その間に先生を納得させられる言い訳を考えなければ。
「はあ、はあ……!」
肩で息をしながら、レッスン会場の扉を開ける。
ひとりだけ、センパイがちょうどいて、心配そうに声をかけられた。
「おはよう、大丈夫? 何かあった?」
「おはようございます! 大丈夫です!」
レッスン頑張ってね、と見送られて、わたしは手を振り返した。
その後、わたしは急いでロッカーに荷物を押し込み、みんながいるであろう練習会場へ向かう。
「舞姫ちゃんおはよう。今日遅かったね。ギリギリ遅刻?」
「アハハ……。ちょっといろいろあってね……ハハハ」
そこへ、わたしたちのダンス指導の男の先生がやってきて、「舞姫」とわたしの名前を呼んだ。
「ハ、ハイッ! 何でしょうっ!」
「遅刻の理由は?」
「えーっと、布団がわたしを離してくれなくてですね、えーっと気がついたらこの時間に……」
「まあ、それは俺もそうだが。特に今日は寒かったからなー」
「わかりますよね!? だったら今日の遅刻も免除に――」
「よしわかった、舞姫は遅刻した分、練習なー」
「そ、そんなあ!!」
わたしはがっくりと肩を落としたのだった。
こんな天下無双の才を持っている彼女も、やはり普通の人々と何一つ変わらないらしい。
【KAC20255】冬の朝は布団がわたしを離してくれないっ! つきレモン@カクヨム休止中 @tsuki_lemon
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます