14話 閑話 うんちく その6

うんちく その6


 宝剣フロッティについて


 砂の国――現在では砂漠となり人が寄り付かなくなったところに、かつて栄華を誇ったクリシュナムという国があった。


 ある時、その砂の国で大規模な結婚式が執り行われた。

 近隣の国々から続々と王侯貴族、有力者たちが招待されてくる。

 その時に引き出物として贈られたのが、それぞれ八本の突剣フレースベーグと宝剣フロッティであったと伝えられている。


 突剣フレースベーグは実践を想定して打たれた剣だったので普通に武器として使用され、現存しているものは少ない。

 一方、宝剣フロッティの方も実践を想定されて打たれてはいたものの、そのあまりの見事さに宝物として飾られたり、また贈り物として再利用されたりしてきた。故に永きに渡り八本の内のその多くが、同時に世界中に存在し続けてきた。

 またレプリカや模造品も多数作成されたため、今ではどれが本物だったのか真偽すら明らかではない。


 ゴブリンの勇者とされるカルスが手にとった剣は、この宝剣フロッティであったと伝えられている。

 何故ゴブリンの手に人界の宝が渡っていたのかは未だ謎とされているが、この剣はかつてゼシア帝国を訪れた老ダークハイエルフがマスタークラスエンチャントを施した記録があることから、本物であったと推測されている。

 まさか偽物、あるいはレプリカにこのような魔法付与は行わないであろうとの見解からである。


 一方、ディートリンデ王国に現れた竜殺し(ドラゴンスレイヤー)の英雄エルヴィエントにも、刻の王から宝剣フロッティが賜られたとの記録があるが、こちらはゼシア帝国のもの以上に真偽が定かではない。

 前述した通りレプリカや模造品が多数存在していたのである。英雄として祭り上げるという思惑があったとはいえ、一介のそれもたかが冒険者に国の宝でもある宝剣を遣わすとは考え難く、これは本物と遜色ないレベルにまで良く作りこまれたレプリカであったと考えるのが妥当である。


 以降、ディートリンデでは二度、褒賞として宝剣フロッティが賜られた記録があるが、これは二回ともレプリカであったとされている。このことからも英雄エルヴィエントに賜られたものもレプリカであったと考えるのが妥当であるとされている。

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