【KAC20254】記憶にない執着は、勘弁で。さ、おしまい。
帝国城摂政
記憶にない執着は、勘弁で。さ、おしまい。
あの夢を見たのは、これで9回目だった。
私が見ている夢は、とある王国の王子様と結婚する夢。その王子様とは毎晩のように夢の中に現れて、私は毎晩毎晩、その王子様と結婚する夢を見ていた。
ある時は一緒に豪華な食事を食べたり、またある時は大勢の人達を呼んでの会食。さらには「君の弟君に行ってもらった会合なんだけど」と、居るはずのない弟の事を話し合う日もあった。
その夢の中の私は、王子様と結婚出来て嬉しそうで、何故だか私もとても幸せな気分になっているのであった。
「はぁ、この夢は何度目かしらね……」
私の名前は、男爵令嬢エリカ・アーノルド。どこにでもいる、ごくごく普通の男爵令嬢である。
そんな私は最近、同じ夢を見る。それはどこかのイケメン王子様と結婚する夢である。夢の中ではエリカではなくてミリアという名前だったし、一度目は夢見がちな物として受け入れてたけど……
「流石に、こう何度も続くと、たまたまとは言い切れないわね」
同じ王子様と結婚するという夢は、偶然とは言い切れなかった。お父様やお母様とも相談したけど、ただの夢として相手にしてくれなかった。
そして今日、私は婚約者に会う事になっている。
一度も会った事がない相手で、何故かは知らないけれど相手の方から、私に求婚してきたという。私達、付き合った事も、それどころか出会った事もないのに、急な話である。
「まぁ、良いわ。お父様も一度会ってみて、その後、婚約者として付き合うか決めるという事にしていきましょう」
そうして現れた彼は、なんと----
「嘘、でしょう……?!」
「あぁ、やはり貴方でしたか。会いに来て正解でした」
それは何度も夢に見た王子様そっくりの人。公爵令息クリト・スカーレットと名乗る彼は、そのまま私の方まで走って駆け寄って来て、そして----
「へぶっ?!」
----転ぶっ。駆け寄って来た速度から考えて、こうなるのは当たり前だった。
しかしクリト公爵令息はめげずに顔を上げると、そのまま私の方を見て、
「前世から愛していました! 好きです、付き合ってください!」
いきなり、貴族として必要な段取りを全て無視して、私に婚約を申し込んだのでした。
「えっと、クリトさん……」
「そうだよ、クリトだよ、"ミリア"。覚えているかい?」
……ミリア?
その名前は私の夢の中の名前であった。どういう事なのかと聞くと、実は、彼も私と同じような夢を見続けていたらしい。しかも私なんかよりもずっと前から。
「恐らくあの夢は、君と僕との前世の記憶。生まれ変わっても忘れない、愛の結晶。だから君を探して、ようやく見つける事が出来て、心の底から嬉しいんだ。
----もう一度言うよ、ミリア。今世でも、来世でも、ずっと、一緒に生きて行こう!」
「文句しかありませんわよ! そんな事、急に言われても!」
というか、重い! 重すぎる!
前世からの執着心が強すぎる。私だって、夢の中で見た王子様の姿を愛おしいと思った事はあるが、だとしてもこれはあまりに重すぎる!!
「一緒に生きて行こう! ミリア!」
「私の名前は、ミリアじゃなくてエリカですわよ! クリト・スカーレット様!」
「クリトで良いよ、マイスウィートハート、ミリア!」
あぁ、もう! これはヤバイ、酷すぎる!
うん、この婚約はなかった事にしてもらおう! さ、おしまいおしまい!
しかしながら、私のそんな気持ちとは裏腹に、今まで誰とも付き合わなかったクリト様が私に執着心を見せたのを喜んだ人々が大勢いて、私は彼の婚約者になってしまうのであって、大変苦労する事になるのだが、それはまた別のお話----。
「執着しすぎですよ、クリト様ぁ~!!」
(※)この物語は9つのNGワード、不適切な言葉が含まれています。是非、探してみてね♪
例)私達、付き合った事も⇒わたした"ち、つ"きあったことも
【KAC20254】記憶にない執着は、勘弁で。さ、おしまい。 帝国城摂政 @Teikoku_Jou
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