第8話 ひとの恋路を邪魔する奴は・・・4

カラスが三匹、上空を旋回しながら飛んでいる、ずっと彼女たちは任務に忠実であった。


 一行の動向を逐一漏らすまいと、主の報告するため。




 一行が出発する寸前に、人外の岡っ引きが飛び込んできた。


 彼らに、ある情報をもたらすため、人外の一団が、今から通る行程の途上で居座っていて、賊まがいの事をしていると、そこで、軍の要請を兼ねて行って欲しいと、王に要請を。


 との事だった。


 出ていこうとする、人外の岡っ引きをひっ捕まえて、


 お前もこい、同じ人外なら、出会ったとき何かと役に立て、と。


 岡っ引きは、


 いやーと言いながら頭を掻き、嫁と子供がいるんで、勘弁してくださいよーとか頭を搔き、濁すように笑いながら何とか誤魔化そうとしていた。


 バカヤロー、仕事だ仕事と言いながら文字通り引きずって出発した。




 表に出ると町の往来が、いままで、番所であった出来事など素知らぬ風であった、実際個人が、どこで何をするなんて、他人はそれほど、多分びっくりするくらい関心なんて持ち合わせていないものだ。




 学生服の彼以下現実世界から転移転生してきたものからすれば、現実世界で、自分達が居なくなり、どれだけのひとが関心を持っていてくれるか。


 そう思うと、学生服は特にこの異世界でもいいかと思い始めた。




 出発して暫くして、人の行き交いが徐々に少なくなり、町を離れつつある


 はあ、と言って


 白いセーラー服の彼女は古本屋に行かなきゃよかった、と。


 そして十手持ちの役人の処にツカツカと近づき、


 もういちど確認のため言っておきますけど、そもそも私たちは、何も知らずここ異世界に来たんですから、


 と。




 十手持ちは頭を掻きながら、


 役目なんでね、


 と。


 辻に近付いてきた。


 道標が立ってあり、左右に文字が、書いている、書いていない直進が都だ。




 学生服は、白いセーラー服に、


 仕方ない。全て、その領主のお嬢様とやらに、会ってからにしよう。


 と。


 上を見上げると、三匹の彼女たちが円を描いて飛んでいた。


 そのはずが、いなくなっていた。




 丁度辻に茶屋があったので、一休みすることになった。




 あーだめ、疲れた。


 白いセーラー服




 あとどれくらいでしょう。


 本を抱えたブレザー女子




 さあ、どれくらいか、どれくらいです。


 学生服が岡っ引きに




 さてね。


 岡っ引きは、無理やり連れてこられた者、そっけなく




 あとこんな峠を二つと言ったところ


 十手持ちの役人は言った。






 その一つ先の峠で、その一行を遠眼鏡で凝視している半獣人がいた。


 当然一行は知らない。

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