死してなお永遠にすれ違うそれは―恋と、愛だと呼べるだろうか

凹凸のボコボコマンめ!!👊許さんぞ!!

一話 【第0章―イキサツ】14回目の記念日 

アラーム前に目覚めたらしい彼女は、まず第一に顔を洗い、その他の身支度をいつもより時間を掛けて済ませた。


が、どうやら寝ぼけてすっかり忘れていたようだ。その後すぐ、朝風呂に直行した。


湯船に浸かりもせず、急ぎながらも丁寧に丁寧に

顔を洗い、髪を洗い、身体を洗っていく。


化粧水を顔に広げ、

ドライヤーを慣れた手つきで済ませ、

艶を帯びた髪に櫛を通し、

気合いを入れるかのような表情で髪を結うと、

つい先程終えた長かった長かった身支度を

造作もなさそうに最初からやり直した。


彼女の顔はこう語っている。

「なんったって、今日は待ちに待った"付き合ってから14年記念日"なんだから!」

絶対に格好をつけたいようだ。


隣の家へ出発しようとお気に入りの靴を履き、

ドアノブに手を掛けたその刹那、

扉が大きな音をたて開いた。彼女は後ろに体勢を崩し、思わず目をギュッと瞑った。


「おっと」


いくらでも聞き慣れているはずなのに、

可愛く美しく、うっとりせずにはいられない

声が彼女の耳に届く。


どうやら先を越されたようだ。目を開けると共に心拍が昂る。耳に血が集まってくるのが分かる。今日も、いや、いつにもまして今日は神々しい。


「近い………。」


感情が勝手に漏れたような小さい声を、

彼女は決して聞き逃さない。

助けてくれたのにありがとうすら言わず、

要は「離れて」を言った私に対し、

「ごめん」と謝る。


「とりあえずリビング行こっか」


そう微笑みながら当たり前のように手を差し出してくる。

いつもこうだ。一度この子のペースに呑まれれば、

術中にハマったも同然、もうどうにもならない。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

死してなお永遠にすれ違うそれは―恋と、愛だと呼べるだろうか 凹凸のボコボコマンめ!!👊許さんぞ!! @awaxawawbwaw

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ