第2話

掌編・『夢タマゴ』


 その夢を見るのは、これで9回目だった。


 まったく同じ、ではなくて、見るたびに違っている…というか、どんどん進化発展?していっているのだ。端的に言うと、ある”生き物”がどんどん”成長”しているのである。


 最初の夢は、「タマゴ」だった。

 虹色のタマゴ。

 ホログラフィックに、玉虫色というのか、綺麗な夢幻色に輝いている。

 ダチョウのタマゴくらいに大きかった。

 殻の表面には、なぜか、真っ赤な「9」という数字が浮かび上がっていて、不思議だが、意味は分からない。…そんな夢だった。


 次の夢から、「カウントダウン」が始まった。

 数字が、緑色の「8」になった。

 表面の夢幻色は、観ているものに催眠術でもかけようとしているかのごとくに、眩惑的にぐにゃぐにゃしはじめた。

 そのタマゴが内部に「命」を孕んでいる、有機的な生命体で、息づいて「成長して」いるのは明らかだった。

 

 3度目には青い色の「7」になった。4度目、5度目と「カウントダウン」は進行した。

 虹の七色が尽きた8夜目には「金色」が浮かんだ。

 殻のピカピカは、黄金に近いような、極彩色になっている。

 まるで、超絶高価な宝玉みたいだった。

 数字は「1」になった。


 タマゴは「臨月」?卒琢同時の機?が、間近い気配濃厚で、次の夢では「孵化」するのだろうな、と、見当が付いた。


 あの夢を見るのは、それが9回目…

 

 「生まれた」のは、…?


<つづく>



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