切ない心情に満ちた作品でした。
夢の中で「恋する相手」に告白し、それを受け入れられる夢を見る。その夢はとても幸せだが、同時に胸を締め付けられる。
現実の世界ではとある男子生徒から告白され、イケメンで人気もある相手なので周りから羨まれる。
でも、罪悪感があった。現実世界で付き合っている「彼」は、夢の中の「恋人」とは別の人。
本当に好きなのは夢の中の「あの人」である。
それならどうして、別の相手と付き合うようなことをしているのか。勇気を出して本当に好きな相手のもとへ行けばいいのではないか。
そしてまた夢を見る。そこで明かされる「恋の真実」、そして、「叶わない理由」というもの。
現状を変えたいと思うけれど、どうにもならない閉塞感。そういう現実から目を背けたいと思って「好きでもない男」と付き合い続ける葛藤。
でも、夢の中では「自分の本音」が形として現れ、目を背けずにいられなくなる。
これは辛いな、と読み終えてしみじみと感じさせられました。強烈な切なさに満ち溢れた恋愛小説です。