「ホラー」という一大ジャンルにおいて、あらゆる手法で怖がらせるための表現が用いられていると思います。トリックを用いたミステリーを混ぜて驚かせたり、残酷の表現を見せつけたり、霊障のじわじわと迫る恐怖感を覚えさせたり……。
そしてこの作品は、私が個人的にホラーで最も怖いと思う「理不尽」が十全に表現されていました。「どうやって避ければ良いか分からない」「避けようがない」……。
でも「解決した、良かった!」と一安心……させてからの、どんでん返し!
ホラーの醍醐味と言える要素がたっぷり詰まって、それを「900字ぴったり」で収める見事さ! 何ならラストの結末は「主人公がどうなったか想像させてくれる」という、これまたホラーだからこその、ホラーでしか出来ないオチ……。
思わず身震いするようなホラー、誠にお見事でした――!