[KAC20254参加作品]初カノをチャラ男にNTRた俺は、その後にできた義理の姉に甘やかされて救われる。

例の山田くん ver.K

プロローグ

あの夢を見たのは、これで9回目だった。



『いえーい★本庄くん見てるぅ?

君の初カノ、これから俺とセックスするから、そこで指くわえてみててねー★』

『あっそ。俺、そいつともう別れたし、どうぞご勝手に』



「またあのときの夢か」



そう、俺の初カノ、仲間が寝取られたときのことを。

俺のスマホに表示されるビデオ通話の映像。

そこに移る元カノと、俺の元カノを寝取ったクソ野郎。

その場を即座に特定して、乗り込んで殺してやろうかと、映像を見て一瞬思った。

だが、その当時その後に出てきたのは、



「あぁ、この女も所詮、こんな簡単に他の男に乗り換えるような女だったのか。

じゃあもういらねぇや」



という感想だった。

で、俺はその画面に向かって、あんな言葉を吐き捨てた。



「所詮リアル女なんて、そんなもんか」



通話を切った後、俺はやっぱりか、と当時は思った。

当時は、大学2年、20歳のころだったか。

俺はさっきの夢であのときはっきり目が覚めた時、俺の部屋に誰か入ってくる。



「おはよう、って康太、どうしたの?その汗」

「なんでもない」

「嘘。またあの時の夢でしょ?また見ちゃったのね。しょうがないわね」



俺の部屋に入ってきた女性は、俺にキスする。



「よしよし。大丈夫、私がいるでしょ」



女性は、俺にキスした後、俺の頭をなでて、自らの豊満な胸部に、俺の顔を押し当てる。

そんなことを俺にする女性は、俺の1歳年上の義理の姉である佐奈だ。

俺はこの人と、卒業したら結婚する予定である。



「どう?落ち着いた?」



俺の顔を自分の胸にうずめさせたまま、佐奈は訊いてくる。



「あぁ」

「その声はまだだね。9回も見ちゃうくらいの悪夢だったんだもんね。

完全に忘れるまで、何度でもわたしはこうしてよしよしするから」



たぶんこの人と出会わなければ、一生女という存在を敵視して生きていくことになっていたと思う。

俺は、彼女に本当に感謝している。



「ありがとう、姉さん」

「いいよ。それより、わたしにいっぱい甘えて」



俺は佐奈の言葉に甘えて、そのままでいる。



「落ち着いた?」

「落ち着いた」

「そっか。それじゃ、朝ごはんできてるから、一緒に下に降りよ」



あの日、初カノに裏切られて女に対して荒んだ感情を持っていた俺が、佐奈と婚約することになった経緯は、二年前に遡る。

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