ターニングポイント
高山小石
※※※
あの夢を見たのは、これで9回目だった。
同じ夢を見ていると気づいたのは、3回目を見た朝だ。
日常的に夢を見る俺は、もう十年以上、見た夢をメモする夢日記を続けている。
2回目で気づけなかったのは、夢の中で既視感を覚えるのはよくあることだし、夢の内容も、必死に逃げたり空を飛んだりと派手なものではなかったからだ。
ちょうど夢日記用のノートを使い終わったので、なにかおもしろい夢はあったかなとパラパラ見直していた。そこでようやく同じ夢を見ていたらしいと気がついた。
同じ夢を見ていると認識してからは、あの夢の中では、自分は夢を見ていると意識して動ける明晰夢になった。
明晰夢になったからか、あの夢の内容は少しずつ違っていった。夢の内容が変わるのではなくて、夢の続きが足されるのだ。
続きといっても、夢の途中で目が覚めて「夢の続きが見たかったのに」と思う未来方向の続きを見るのではなくて、どうしてそうなったのかがわかる過去話が足されていく。
あの夢を見るたびに夢は深掘りされるが、夢自体は過去から未来への時間軸にそって進むため、夢の始まりは毎回違う。
初めて見る過去にあたる夢を、明晰夢なこともあり、まるで現実かのように過ごすことになる。見知った夢にさしかかって初めて、あぁあの夢の中なのかと気づく。そんな繰り返しが5回続いての9回目だった。
ここまで続くと、不定期に上映される映画を観ているような気持ちにもなってくる。今晩は見るかなと期待しながら寝るようになった。
目覚めてすぐ、夢の内容を忘れないうちに書き出す。夢は記憶される場所が違うのか忘れやすい。夢の記憶がなくなった自分が読んでもわかりやすいように意識して書く。
9回目を書いた部分を読み直していて、なにか引っかかったので、過去のあの夢の部分を読み直してみた。
変わらないと思っていた夢の終わり部分が変わっていた。どれかはわからないが、俺の行動が影響したのだろう。
なら思うように夢を改変できるかというと、できない。夢の過去にいる間は、そこが夢だとは気づけないからだ。
ただ、夢の中の自分が選んだ通りに未来が変わる。あの夢は現実と同じだ。
いや、現実こそがあの夢の通りだと思った。
ターニングポイント 高山小石 @takayama_koishi
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