2. 山の知識

●2. やま知識ちしき


 食生活しょくせいかつ改善かいぜんだい一歩いっぽ、それは、異世界いせかい知識ちしき

 あれ、地球ちきゅう知識ちしきチートでなんとかするんじゃないのかってうかもしれない。

 しかしここは地球ちきゅうじゃないんだ。

 植物しょくぶつているものがおおい。ているかほぼおなじなものもおおいけど、なんと、魔法まほうとかがある世界せかいなので、本当ほんとう薬草やくそうとポーションとかもあるのだ。


 リズのおばあちゃん、カエラは、はたけべるぶんだけはそだてているけど、普段ふだん半分はんぶん放置ほうちで、ドロシー一家いっかがついでにはたけ世話せわをしている。

 カエラの本職ほんしょくは、薬草やくそう採取さいしゅにある。彼女かのじょ薬師くすしなのだ。

 いつも薬草やくそう採取さいしゅしてきては、漢方薬かんぽうやくのように乾燥かんそうさせて、粉末ふんまつにしたりして保管ほかんしている。

 それをたまにまちのほうからくる商人しょうにんって生活せいかつしている。


 やまのことはうちのとうちゃんよりもばあさんのほうがずっとくわしい。

 とうちゃんは元々もともと騎士きし見習みならいだったらしくて、戦闘せんとう能力のうりょくたかいけど、サバイバルきではないらしい。


 ということで、おれはばあさんと一緒いっしょやまくことにした。

 座学ざがく知識ちしきだけつける時間じかんなんてない。

 実地じっち実地じっちOJTオージェイティー、On the Job Trainingだ。はたらいたこといけど。


「というわけで、ばあさん、今日きょうからやまくのにれていってよ」

「じゃあ、あたしもく」

「あの、わたしきたいわ」


 おれよめ二号にごう、リズも、そして若干じゃっかん丁寧ていねいおれよめ一号いちごうのドロシーもあんじょうくっついてくるらしい。

 ばあさんは、このとしではあるものの魔法まほう使つかえるらしく、ちかくにてくるけもの魔物まもの、モンスターも退治たいじできるそうだ。

 あとはもうとしなので、んじまったら仕方しかたがないともおもっているようだ。


やまあぶないのじゃ」

かってます。でもおれやま知識ちしきをつけたいんです」

「ふむ、いいをしてるね。なんかブランぼうじゃないみたいじゃ」

おれ、いつもダメっぽいしてますかね」

「いつもはもっと、なに本当ほんとうなにかんがえていないような純真じゅんしんじゃったのに、いま多少たしょう知性ちせいがあるようなえるのう」

おれだって知性ちせいくらいあるわい」

「まぁそういうことなら、しょうがないついてくるがいい、とおくへくんじゃないぞ」

「「「はーい」」」


 こうして、ばあさんとおれたち三人さんにんは、やまなかはいっていくことになった。


 季節きせつはる色々いろいろ植物しょくぶつがある。

 おれのおりは、集落しゅうらくやま境目さかいめや、やまなか群生ぐんせいしているノイチゴだった。

 いましろいイチゴっぽいはな一斉いっせいかせている。


 おれには現代げんだい知識ちしきやネット検索けんさくしただけの多少たしょうやま知識ちしきはある。

 しかしこの世界せかいとは植生しょくせいちがうし、なにより言語げんごちがうのでたとえば「シイタケ」をこっちの言語げんごでなんとんでいるかからないわけだ。

 だから、かたぱしからべられそうなものを紹介しょうかいしてもらうし、地球ちきゅうおぼえがあるものは、ガンガン質問しつもんしてマールラでなんとぶのかをおぼえていきたい。


 こういうときにスマホなどがあれば、単語たんご対応たいおう辞書じしょつくっていくとかも可能かのうなんだけど。

 そして致命的ちめいてきなことがある。おれはこの言語げんご文字もじらない。


 文字もじらない。


 ちょう大事だいじなので二回にかいった。

 なるべくはやく、おしえてもらおうとこころちかう。

 田舎いなかっぺの子供こどもがいっちょまえ文字もじってるとかおもうなよ。くそう。


 やまなかべられる草木くさきおしえてもらいながら、やまなかすすんでいく。

 あのばあさん、としのくせに斜面しゃめんでも平気へいきのぼっていく。


 ちなみに、ばあさんもリズとおな猫耳ねこみみぞくなので、あたまうえ可愛かわい猫耳ねこみみえている。

 しわくちゃのばあさんが可愛かわいくても、どうでもいいといえばそうだけど、これはこれで愛嬌あいきょうがある。

 リズなんて子猫こねこちゃんだから、それはもう、みみやしっぽをもふもふしたくなってくる。


 これも現代げんだい知識ちしき影響えいきょうだろう。まえまではそんなふうにはおもわなかった。

 しかし「猫耳ねこみみ」という魔力まりょくにはあらがえない。


休憩きゅうけいしよう」


 やまなかみずている場所ばしょで、休憩きゅうけいをした。

 おれはリズのあたまをやる。

 そして猫耳ねこみみを、ふわふわっとさわる。


「あっ」


 リズはほおすこあかくして、びっくりしたような表情ひょうじょうをするもののげずに、されるがままになっていた。

 おれはしばらく猫耳ねこみみ堪能たんのうした。


 もふもふもふ。


 ハッとづいたら、ドロシーがちょっとつきをするどくしておれ凝視ぎょうししていた。


「な、なにさ」

「なんでもないわよっ」


 ドロシーにったら、ツンツンした態度たいどこうをいてしまった。

 特徴的とくちょうてきなエルフみみすこあかくなっている。

 それはそれで、ツンデレみたいで可愛かわいいです。

 猫耳ねこみみもいいけどエルフみみ甲乙こうおつつけがたい。


 この猫耳ねこみみとツンデレ成分せいぶん補給ほきゅうしつつ、ちかくにえている薬草やくそう野草やそうなどをみながらおぼえることができた。

 フキもどきの若葉わかばがたくさんえていたので、くきってきた。っぱは千切ちぎっててる。

 地球ちきゅうではっぱもべられるらしいが、ここはおばばにしたがうべきだろう。


 こうして、このから夕食ゆうしょくのおかずのっぱるいえることになった。


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