涙と槍

魔獣

別の言い方をすると捨者

強さを求め人間としての矜持もなにもかもを捨てたもの

それはもう人間とはいえない者

だから捨者と言われている

全てを捨てて得た力が弱いわけがなく、並みの召喚士やハサスでは傷つけることすら叶わない

それに加えて血を求める本能だけで行動する。

厄介極まりない存在として教会はこれを禁じてきた。

異端狩りのエキスパートと言われる教会がこう言うほどの存在。

それが魔獣なんだよ!?

それを


「犬っコロはつまらんなぁ こんなんじゃ全然ストレス解消になんねぇよ やっぱり前回スクルドの変わりに行くべきだったか?でもなぁ一番最初に行くと三姉妹のトップとしてのメンツが……」


考え込みながら攻撃を避けられている。

魔獣を見てすらいない。


「三姉妹のトップはウルズだろうに」

「あんな怠け者がトップなわけねぇだろ!?」

「またそんなこと言って 告げ口してやろうかなぁー」

「やめろやめろ!!姉様に拗ねられると面倒なんだ!!後おまえはうるさい!!」


そういってヴェルダンディはかかと落としを喰らわせる。

うるさいって何も喋ってないのに……


「うるさいって何か喋ってます?」


「こいつの魔力がうるせぇんだよ!!攻撃する度に魔力をこめるし、それに加えて魔力も中途半端にあるから 目をつむってても探知できちまうし、うるさく脳に入ってきやがる。」


魔力を探知ってそんなことが可能なのか?

私が人形だから知らないだけで普通の技術なのだろうかと思ったが、横にいるリオニスは口をあんぐりあけている。


「あんたその見た目で魔力の流れとか見てるんすか?意外」

「俺も初めての時は意外だったよ 」

「うるせぇ それにどうみてもは私は頭脳だろ!!」

「どこが?どうみても脳筋」

「次はおめぇをやってやろうか!?ヘドロ!!」


「いやいや!?魔力を探知!?それってオウルや妖精の特権じゃ!?それに探知型はどうしても戦闘能力が弱くなるって相場が……」


「妖精?」


そういって触手女は笑う。

似合わねぇといいたそうな顔だ。


「うるせぇ!!それに私は妖精みたいに可憐だろうが!!」


「ないない!!」

「そうですよねぇ!!」


「ラブおめぇまで!?そこのコンビ後で覚えとけよ!!全く仲違いしてるって姉様から聞いてたのにちゃんと仲直りできてるじゃねぇか……」


「そういう恥ずかしい台詞は脳内だけで言ってもらえます?それに私とマスターは別に仲違いなんか」


「聞くな!!」


そういわれて顔を赤くしたヴェルは魔獣を殴り壁へと衝突させる。 

八つ当たりだ。

どうみても八つ当たり

それを魔獣相手に……こいつ本当になんなの?


「考えるな 私はもう考えることはやめた」


そんな私を見てリオニスは遠い目をして、私に諭す。

あぁ、先生って大変だね


「チッ!また起き上がって来やがって 殺さない程度にするなんざ やっぱり苦手だわー」


殺さない程度にって手加減をしてこれ!?



『本当は気付いてるんでしょヘドロ?もうあれはどうしようもないって♪』  


黙れ

また勝手にテレパシーで喋るな

おまえの声が脳に響いて鬱陶しい。


『さっさと取り込んじゃないなよ そうすれば君はまた強くなれるよ?』


うるさい

あんなゲテモノ食えるほど私はお前ら程雑食ではない

私はグルメなんだ。


『よく言うよ 本当はあの獣に感情移入して食えないんでしょ? 意味わかんないよー

全くこれだからヘドロはー』


……うるさい

なにかを捨ててでも守りたいものがある。

それは悪いことじゃないだろ!?  


『今度は逆ギレとかほんとに感情移入してるんだね でもこのままじゃ君は……』


わかってるさ

だけどその為だけにあれを喰らえと?

あの人形ちゃんの大事な人を?


『甘いねぇ 砂糖より甘いよぉ そんなんじゃ死ぬよ?それに元に戻せるとでも思ってるの?君ならわかるでしょ?変わったものはもう戻らない 子供ですら知ってるよ? それとも自分が戻りたいから?』


うるさい!!

そんなことやってみなくちゃ……


 「殺してあげて……」


人形ちゃんは私の触手が会話に意識を持っていかれていた隙を見逃さず緩んだ触手を動かし喋った。


「なにか方法がある!!」


「本当は分かってるんでしょ?もうどうしようもないって それにリオニスの顔を見てたら駄目なことぐらいわかるでしょ?」


そういってリオニスとやらの方をみると顔をそらす……


「でもだからって殺すって そうだスクルドと同じように解決策が見つかるまで封印するとか!!」


「え?あいつ封印されてんの!?」


「うるさい!!ややこしくなるから引っ込んでなさい!!」


「てめぇ さっきから聞いてりゃヘドロ分際で!!」


「……殺してやってくれ」


「先生まで!!」


「あと少しすれば完全にサラの人間性は消滅する それはおれが一番わかってる だから人として終わらせてやりたい。」


「……わかりま」

「本当に良いの!?人形大事な人なんだろ!?」

「だからこそです」


何だよその顔、ひどい泣きっ面じゃんか

私より力も能力もない癖に私より強いじゃんか


「やってくれ ヴェル!!」


「うるせぇおめぇが指図すんな!!……ラブいいのか?」


「彼女が覚悟を決めたんだ 僕が何か言える立場じゃないだろ?だから……」


「へいへい 恨めよ犬っころ おめぇの名前なんか知らねぇがそれはそれでいいのかもな 娯楽や殺意なんか関係ないまま、純粋な戦いで死ねるんだ 羨ましいよ私らはそうはならねぇからな」


そういって彼女はどこからか槍を取り出す。

その槍は黒く淀んでいる。

だが何故だろう その槍からは人の息づかいというか、暖かさも感じられる不思議な槍


「わりぃな母様 今回はあんたにはやんねぇよ

私が貰いうける。あんたにやるにゃあこいつは上玉すぎる。」


そういったと同時に彼女は槍から黒い光が発せられる。

その光は数秒で消えてしまう

そうそれはまるで───星の光

凄まじい光が辺りに広がると同時に何かの音がした。


「終わったのか?」


目をやっと開けられた時そこには何も存在しなくてあるのは破壊の後だけ。

血も肉も何もない。


「全く……帰る ラブ速く門閉じろ」

「わかったけどなんか機嫌悪そうだね」

「うるせぇ!」

「次は私とか言ってなかった?」

「そんな気分じゃねぇよ」


「あの……ありが」


「礼なんかいうな 恨めよ 俺はおめぇの大事なやつを殺したんだ。」

「いえ殺したのは私です 私がいなけ」


首に冷たい槍が触れる。


「次そんなこといいやがったら首を跳ねるからな あいつはおめぇのおかげで楽しかったとさ……まったく殺した俺にこんな伝言頼むかよ」


「そう……ですか 楽しかったなら何よりです……あれ何か液体が」


「それが生きるって事だとよ 俺はらしくもねぇ事を言わせやがって おいラブ!!速くしろ!!恥ずかしくて蒸発しちまいそうだ。」


「わかったわかった。」

「次はもっと楽しいの用意しとけよ?」


そういって彼女は門が閉まったと同時にきえてしまう。

本当にありがとう

ヴェルダンディそしてサラ

あぁ、液体が冷たく私の人形にしみるなぁ

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異世界召喚士 俺だけ召喚獣クトゥルフ神話縛りですか!? 猫カイト @nekokaito

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