ケットシーカフェの手口

――ケットシーカフェ山形市粗汁町店


「お客様ぁ〜〜当店は、初めてでございますにぃ」


「は、はい初めてです」


 一人の青年が入店すると、店長のケットシーが、さっと現れ、出迎えたのだ。


「それではこちらへぅぇ……猫たちがぁ、お出迎えいたしますのでぅぇ……」


「え?」


 店内の猫全てが……警戒心ゼロで寝ていた。


「出迎え?みんな寝ているんですが……」

「はい、これが当店の出迎えの作法ですからにゃねぇ……」


 ケットシーの分かりづらい言葉に青年は戸惑いながらも、柔らかなマットへ座った。


「せっかくですからにゃぃ……撫ででくださいねぃ」

「は、はい……」


 一番近くで、スヤスヤ眠っている猫を撫でようと青年が手を伸ばす。


「お客様、お腹は危険です、頭撫でて、頭!」

「は、はい」


 青年は手の行先を変え、猫の頭を撫でた。


 スヤスヤ……


「その感じ、いいですにゃぃ……そのまま背中を撫でるとよろしいぃ!お客さみゃ!」

「は、はい」


 スヤスヤしている猫の背中をゆっくり撫でる。


「そのまま続けるのですお客様」

「は、はい」


 青年はさっきから店長に命令されている様な……そんな……気がしていたが、まぁ……、いいやぁと……、ほんわかと……思った。


「続けて続けて〜〜お客様続けるにゃ〜〜」

「は……はい………」



「ニャヒヒヒィ……当店の猫たちには特別な魔法がかかっておりまして……、猫毛と猫毛の間に、眠くなる成分が含まれておりますに……ニャヒヒヒ」


 説明を聞き終わる前に青年は眠っていた。彼も猫の様に、とろけてしまったのだ。


「お客様、ゆっくりとお休みくださいませぇ……当店は時間制ですが、なるべくゆっくりと疲れを癒すといいにゃ……ニャヒヒヒ……」



 




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妖精養成所 サーキュレーター @kyapikyapi

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