このダークな世界観に、あっという間に魅了されました。
主人公ノヒン。暴力が支配する剣と魔法の世界において、圧倒的な強さで立ちふさがる者たちを切り伏せていく。
ノヒンには探している敵がいるらしいことがわかる。「ラグナス」なる人物を激しく憎み、同じくジェシカという女性のことも追い求める。
二人の過去には何があったのか。なぜノヒンはラグナスを殺そうとするのか。そしてノヒンのこの怪物的なまでの強さはどうやって獲得されたものなのか。
本作は三浦健太郎の「ベルセルク」を彷彿とさせられる箇所も多分に含まれます。グリフィスを追うガッツのように、ラグナスを激しく憎むノヒン。そしてキャスカのように失われているジェシカ。
でも、この作品はただそれをなぞっただけのものにはなりません。ラグナスを憎んで殺害しようとするも、まだ「その先」に「ロキ」なる別の敵がいるらしいことが見えてくる。だからこそ激しく憎んでいてもラグナスを手にかけることを留まるざるを得ない。
この辺りでもう、読む手が止まらなくなります。
そこからすかさず描き出される「ノヒンの過去」の物語。彼がどのようにして現在のような力を得て、ラグナスを仇と思うようになっていったか。
かつての恋人だったヨーコの辿った運命。そして力の覚醒。ラグナスとの出会い。
謎の存在ロキの正体は? そして相棒となるヴァンガルム(喋る子犬)とはどんな出会いを果たしたか。
続きが気になり、一気読み必至となる作品です。