第20話 バーのマスター 宇宙人

 私はバーのマスター兼、白鳥様と八乙女様の事務所に居候している宇宙人でごさる。


 先日、舌を噛んで病院に搬送された元マスターに託されてバーを引き継いだでござる。


「今日はお酒を飲んで、依頼失敗した悲しみを発散させる。そんな日!」


 早速、最初のお客様、白鳥様と八乙女様が来店してきたでござる。


「あり、なし、なし、なし、大あり」


「八乙女様は何をしてるでござる?」


「架空のありなしクイズを脳内シミュレーションしていましたわ」


「八乙女さんはシラフで狂ってる!」


「母なる大地よ脳の殻を右半分削りながら逆立ちしてサンタクロースになりなさい。残った左半分で人形を編みなさい。その人形をサンタクロースと思わせなさい」


「これでも八乙女さんはシラフだよ!」


「マスター、開店してますの?」


「お二人様でよかったでござるか?」


「盛大に無視されましたわ」


「二人だよ。お好きな席にどうぞと言って! 分かったよ勝手に座るね」


「それ私のセリフ……」


 白鳥様はカウンター席に座り、八乙女様は逆立ちしながら『人形がホワイトサーベルになりましたわ〜!』と叫び散らしているでござる。正直出禁にしたい。


「マスター、いつものを頼むでござる」


「マスター、君でしょ」


「あっ、私か。今日は何に致しますかでござる」


「そうだね。おすすめでも聞いてみようかな」


「今日はたくさん仕入れてるでござるよ。水と氷のありとあらゆるブランドを全て揃えたでござる」


「えっ? もしかして、水から氷しか出さないのこのバー」


「酒は出さない主義がモットーのバーでござるからね。水一杯千円でござるがどうでござる?」


「清々しいほどのぼったくり価格だ。食べログ星5付けとこ」


◇ちなみにこのバーは客が来なさすぎて数ヶ月で廃業した。

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