第19話 初めて会った日
わたくしは八乙女家令嬢、八乙女あやの。現在、使われていない建物で肝試しをしていますの。
「にしても、この建物。なにか匂うんですわよね。クンクン、生臭い匂いと梅と塩の匂いが、均等な塩梅で匂ってきますわ」
台所と思わしき場所にたどり着いたわたくしは、何かないか床を見渡していました。
すると、大量の血……と、食べかけのビーフシチュー。そしてそこに佇む一匹のネズミを発見しましたわ。
「状況から察するにこれは、ここでビーフシチューを巡る骨肉の争いがあったに違いありませんわ〜!? そして、貴方はその勝者というわけですわね、ネズミさん!」
「チューチュー?」
◇白鳥視点
あたしは高校生にして、昨日何でも屋を立ち上げた白鳥乃愛。今はこの建物を不法占拠している女の子だ。
「勝手にここの台所を借りて、ビーフシチュー作った際にケチャップを床に落としちゃったけど、やっぱり片付けた方がいいかなぁ」
瞬間、台所から人の気配を感じたので、あたしはそーっと台所前まで近づき、中に誰かいないか確認することにした。
部屋の中には案の定、お嬢様みたいな女の子が居た。
「貴方はビーフシチュー争奪戦の勝者なのですから、いっぱい食べてくださいまし」
しかも、あたしのビーフシチューをネズミに食べさせている。絵面だけ見たら意味不明だなぁ。だって、お嬢様が廃墟に居て、そのお嬢様がネズミにビーフシチューを食べさせている光景は中々見れないよ。
すると、お嬢様があたしの気配を察知したのか『そこの貴方、何をコソコソしてますの?』とあたしが居る方向に向かって、質問を投げかけてきた。
あたしは咄嗟に、『何でも屋を始めた白鳥乃愛だよ。君こそどうしてここに?』と返した。
「殺意は無いようですわね。申し遅れましたわ。わたくしは八乙女あやのですの。今は肝試しを嗜んでましたわ」
◇これが、白鳥乃愛と、八乙女あやのが初めてお互いを認識した瞬間だった。
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