第51話 魔導大祭4 シルヴァス・ナイトシェードVSサフィア・フレアグレイシス1[魔導大祭編]

次は、決勝トーナメント2戦目だ。次の勝者がセレナちゃんの相手になる。決勝トーナメント2戦目は、シルヴァス・ナイトシェード対サフィア・フレアグレイシスだ。シルヴァス・ナイトシェードは、暗殺一族ナイトシェード家の次男だ。暗殺で悪名高く有名な一族である。ナイトシェード家は、暗殺に適した毒魔法の使い手で、毒魔法は魔力が高い者なら水魔法や火魔法、雷魔法を凌駕する恐ろしい属性だ。暗殺を請け負い、多額の資金を得て財を成してきた一族だ。ただ、シルヴァスは過激な奴で、エルフ、獣人、アマゾネスなど、純人間以外の種族や少数民族、亜人族を嫌っている。こいつが学園に入れたのは謎だが、危険な人物だ。ここで負けて、セレナちゃんと当たるのは避けたいものだ。

でも、フレアグレイシス? 聞いたことないな。決勝トーナメントに残るくらいだから、相当強いんだろうけど、いったいどんな人なんだ…?


早速選手入場だ。まずは、サフィアの入場だ。声援はまばらである、やはり、無名の選手なのか?と思った。そして、シルヴァスの入場だ。サフィアよりも声援があり、思ったより、声援がある、一部の女性生徒から人気なのだろうか。


さっそく、決勝トーナメント2戦目が始まった。

シルヴァスが冷たく言い放ち、指を鳴らした。

「俺の毒に耐えられる奴はいねえ。さっさとくそくらえくらって死にな、無名のお嬢ちゃん。ここまで来たのは立派だが、ここで終わらせてやる。」


その言葉に、サフィアはニヤリと笑った。

「そっちが毒なら、私の熱いのと冷たいのとどっちでやられたい?」

生意気な口調に、観客が「おお!」と沸いた。


シルヴァスは怒りを露わにし、

「うるせえ、黙れ! 無名女!」と叫び、

「ヴェノム・ネザーレイン!」と詠唱し、毒の雨を降らせた。


すかさずサフィアが、

「アイスフレア・クリスタルドーム!」と詠唱。

観客の一人が興奮気味に言った。


「ドーム型の防御魔法か! しかも、火と氷の混合魔法だぜ! この年で混合魔法を操るなんて、すげえな!」

ラミッサが叫んだ。


「サフィアちゃん、めっちゃカッコ可愛い! セレナちゃんのライバル!?いや、百合もある!?」

違う属性の魔法を同時に混ぜて発動するのは、かなり難しいらしい。それは俺でも知ってる。

なんと、ヴェノム・ネザーレインを防いだのだ!

ルビルナが言った。


「ふん、まぁ…悪くない技ね。ヴェノム・ネザーレインを防ぐなんて、ちょっと感心したわ。…ほんと、ちょっとだけよ!」

別の観客が続けた。


「ナイトシェード家の次男の魔法だぞ! 相当な魔力のはずなのに…。あの娘は一体誰だ? サフィア・フレアグレイシスって誰だよ! こんな逸材が埋もれてたなんて、魔導大祭、最高に面白いな!」

俺も同じことを思った。


シルヴァスが魔力を高め、ヴェノム・ネザーレインの威力を上げてきた。すると、アイスフレア・クリスタルドームにガラスのヒビのような亀裂が入り、ついにドームを貫通。ヴェノム・ネザーレインがサフィアに届いた。

シルヴァスが不敵に笑って叫んだ。


「さっきまでの威勢はどうした? 毒が効いてきたようだな。これがシルヴァス・ナイトシェードの力だ!」


サフィアは苦しげに、しかし気合を込めて叫んだ。

「さすがナイトシェード家! でも、私もここで終わる気はない! 終わらせない!」

次の魔法を準備し始めた。



 

 

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