一緒にいたいのは
佐々森りろ
第1話
クリスマス寒波がくるらしい。タイミングのいい天気予報だ。なんて事を思いながら、スマホを手に取った。
》今日は荒れるみたいだから、会うのはやめにしよう?
》了解
躊躇うことなんてなく、すんなり彼氏とのクリスマスの予定が白紙になった。普通なら、恋人と過ごすクリスマスは寒波が来ようが大雪になろうが、一緒にいたいと思うものだ。だけど、そんな感情が今はどこにも無くなっていた。気持ちのない恋人とのクリスマスを、どう過ごすかを考えていた所だった。
初めて会った時に、遅れたことに慌てて走ってくる、照れた笑顔に一目惚れをした。
真面目な顔で、自分にはどうでもいい話でも、あたしの話を真っ直ぐに聞いてくれた。
優しさがいつも嬉しかった。不満なんて何もなかった。それなのに、もう好きという感情は無くなっていた。
たった一言だけの返信に、きっと彼も同じなのかもしれないと思った。
外はチラチラと雪が降り始め、風も強くなる。積もりそうに降る雪の割に、気温はそれほど低くはないのか、道路に落ちる雪はすぐに溶けて染みだけになる。
ブーツのふわふわがゆっくりと歩みを進める足に心地よい。耳も鼻も冷たいけれど、心の中はあたたかさで満たされていく。
街灯の下に見つけた君の姿。傘に積もった雪が、呼んだ名前とともに振り返った時に落ちていく。耳も鼻も赤くした君が笑った。
まだ、なにも始まっていない君の横へ並ぶと、そっと傘をかぶせてくれる。
今日、一緒に居たいのは彼氏じゃなくて、友達でもなくて、友達以上恋人未満の君。
予約しておいたケーキを手に、シャンパンを抱える君とクリスマス寒波の中でも、幸せを感じながら家までの道を歩いた。
一緒にいたいのは 佐々森りろ @sasamoririro
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