もう一人の自分

雪乃兎姫

第1話

 幼い頃、自分以外の友達のような人物がいつも身近に居たことはないだろうか? ……とは言っても、それは普段付き合いのある学校の友達や近所の人というわけではない。常に家の中に居たり、寝ているときに話しかけてきたり、そうしたもの……いわゆる『イマジナリーフレンド』というものだ。


 イマジナリーフレンドは、ある種の妄想の類ではあるものの、人によっては本当にそこに居ると信じることがある。傍に居ないのに誰かと話していたり、談笑し笑っている、ある意味で他人から見たら奇異なことこの上ないことだろう。しかし、その本人にしてみれば、何故その彼や彼女の姿が周りの人に見えないのかと、逆に疑問を持つのだという。人によってはそれは、クマのぬいぐるみであり、もしかすると玩具や壁の類かもしれない。西洋文化であれば、そのイマジナリーフレンドのことを『妖精』と呼ぶこともあるそうだ。


 日本で妖精と聞くと、森の中に住む、小さく羽の生えた少女というイメージが強いことだろう。これはピーターパンなどの童話からのイメージやロボットアニメに出てくる、無口や口うるさい妖精などでイメージ漬けられているのかもしれない。


 だが、実際に妖精というものの存在を大人が信じていることもある。例えば、伝承などの類で話し伝え、子供や孫に悪い事をしてはいけない、その場所に近づいてはいけないなどと、普段の行動や言動への戒めや警告の意味で語ることもあるのだ。


 またその他に有名なのが、一つ目の怪物である『キュクロプス』なども挙げられるが、寓話だけのことでなく、実際に存在することもあるのだ。それというのも、その正体が片目の大男というオチだ。


 ……というのも実は、戦争や火事場などで働き、目や腕、足を失った男たちが街では通常の仕事を得ることができずに、日々の糧を得るそのために森や山で木を伐る木こり業や狩猟で生活をしており、時折街の人が薬となる野草やきのこ、小動物を捕る目的で森や山へと赴き、怪物と見間違えたことに端を発するのだ。


 妖精と一口に言っても、その人それぞれがイメージする姿形で今なお存在し続けていることだろう。もしかするとそれはもう一人の自分の姿なのかもしれない。

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