第7話 エピローグ
「ナオヤ、これはどこに置けばいいのだ?」
赤黒い髪の毛を無造作に束ね上げ、雰囲気のあるカフェオーナーの様な出で立ちに両耳から繊細なピアスチェーンを垂らしており、そのピアスチェーンと後れ毛が、穏やかなそよ風と暖かな太陽光に絡み合い揺蕩っている。
男の俺でもうっかり見とれてしまう… 絵に描いた様なイケメンのバルバローグが、額にほんのりかいた汗を拭いていた。
俺たちは新しく研究プロジェクトを立ち上げるために、城の一角で色々準備をしている所だ。
窓から見える木々には、いい匂いのする淡いラベンダー色の花が咲き始めている。
あれから二ヶ月が経っていた。
凱旋パレードでは花びらや色とりどりの紙吹雪が舞い、子供たちが大はしゃぎしていた。
国中がお祝いムードで、思い出すだけで嬉しく誇らしい気持ちになる…守り切った。
アルゼンディア王国から、クロムは褒章を、そして俺は改めて勇者の称号を贈られた。
バルバローグの存在をゴミ処理スキルで完全に抹殺することも可能だったが、命は有限になり、傷ついた者を癒し回復する能力しかない、元々は平和主義の奴を俺には処理できなかった。
エルファス三世は、俺の監視下に置くならと許可してくれた。
たまに出る上から目線な物言いはご愛敬だけど、人間族が怖がるといけないからと、自身の姿を人間型に変更した心根が優しい奴だ。
ちなみにシェイプシフトは魔王、鬼神、人間型の三種類に限られるが、着替えをするように変更できるそうだ…魔力ではなく、そういう仕様らしい。
カレンは、貧困街の子供たちにも教育を受ける機会を与えたいと学園を創立した。
かなり意外だったのが、子供好きらしいバルバローグが積極的にカレンをサポートしていて、更にはカレンと一緒にランチを食べてる姿を何度か目撃したことだ。
ライヴァンは、迷った俺を部屋まで案内してくれた爽やか新米騎士と妙に親しげで、一ヶ月ほどゆっくり旅行してくると先日二人で旅立った。
もちろんカレンには気を使って遠慮してただろうけど、俺にはライヴァンは結構スキンシップ多めだったのって、召喚された同士だし、また外国人だからかと思ってたんだが…違ったのかな…
クロムは、相変わらず小さいままで俺の頭の横で寝起きしつついつでも傍にいるが、女性の太ももの上で昼寝をするのも好きみたいだ。
またカレンの学園で、少し素行に問題のある子供たちに癒しをもたらすアニマルセラピー的なことをして人気者になっていて、本人も結構楽しそうだ。
俺はと言うと、高嶺の花だと思っていたリュミエール姫と最近よく会うようになっていた。
エマは相変わらず元気に姫の傍らであれこれと世話を焼いている。
そのうちエマ無しで姫と会えるようになるといいなぁ〜と思う…
実はリュミエール姫が乗馬を教えてくれるって言うから、喜んで手ほどきしてもらっている。
姫が後ろに乗って手綱さばきを教えてくれるが、あのいい香りと、太ももの暖かさと、ぽよんぽよんと背中に感じる柔らかいのに神経が集中してしまう…
こんなに女性と密着したことないから毎回緊張するけど、乗馬は出来るだけゆっくり覚えたいと思う。
姫はいつも冷静で冷たい感じだが、二人の時は気恥ずかしそうな素振りや、はにかむ表情をよく見せてくれる。
そのギャップと半端ない破壊力に為す術もなく俺はやられてしまった…ぽよんぽよんにも…
* * *
おぉぉぉ…よかったぁ。
わし、神様。
歳はよく覚えておらん…。
ちょっとしたサービスの肉体改造が終わって説明面会しようかと思ってた時に、手違いがあって直哉を別の異世界へ持ってかれてしまった。
いやぁ~あの時は焦った…本来であれば、転移予定じゃった。
途中だったから、取り敢えずスキルはテキトーに前職に因んでゴミ処理ってしたままだったから心配してたんじゃ。
だって最近は色んなスキルがあって大変なんじゃょ~。
本人は覚えておらんがわしの御霊分けの分身だからの、いい感じの選択をして上手くやっておるようじゃわ。
このラウムの霊体だと物事は思った通りにシレッと進んでしまうで、感動や感情が希薄になってどうしようもないからの。
沢山いろんな経験して、色んな感情や感覚の持ち帰りを楽しみにしとるぞ~。
召喚されたのにスキルが「ゴミ処理」だった件 花深まるる @kafukame
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