妖精になりたかった茉莉ちゃん🧚

この美のこ

🧚

 私は、雛形ひながた茉莉まつり

小学6年生。

最近のパパとママのイザコザにうんざりしている。

もう、離婚しちゃうかも。

そんな、パパもあまり家に帰ってこなくなった……。

そんなんだからママも心労で倒れて入院しちゃった。(´Д⊂グスン

一人ぼっちになった私は暫くおばあちゃん(ママの母)と暮らす事になって、学校も転校する事になったんだ。

転校は不安だったけど、大好きなおばあちゃんと一緒に暮らすことは抵抗はなかったよ。

小さい時から夏にはいつも、泊りがけで来てたからね。


 私にはおばあちゃんからもらった大事にしている絵本があるの。

になりたかった桃ちゃん』

この本を読むと心がウキウキ、楽しい気持ちになれるんだもん。

妖精になりたかった桃ちゃんが冒険の旅に出て色々な修行を積み重ねて晴れて妖精になれるお話なの。


 ― 私も明るく可愛い妖精になりたい。


 だから私は、本の中の桃ちゃんになりきって引越しした時から冒険の旅が始まるという設定にしたの。

だから、何があっても負けない!

笑顔で乗り切る!

ナイスアイデアでしょ!

そう考えたら、なんだか目の前に起こることが全部、面白く思えるよ。


― さぁ、桃ちゃんのように冒険の旅に、いざ出発!


私は転校初日から自己紹介でクラスの男の子に


「ひながたまつりってひなまつりかよ」


と、からかわれたけど、ここは笑顔で明るくこなすことができた。

よっしゃー!

私はミッションクリアしたくらいの気持ちだった。


 私の席は見るからに内向的な久城颯くしろはやという男の子が座ってる席の隣だった。

だけど私はこの子とは仲良くできると直感したの。

だから色々、話しかけてみた。

思った通り、照れ屋だけどとっても優しい男の子ですぐ仲良くなったよ。

学校生活が楽しくなりそう、そんな予感がしたの。


 颯くんは時々名前の事でからかわれていたの。

その時シュンとなっていたから私はたまらなくなって

“私がついてる”

なんてメモを渡したけど嫌じゃなかったかな。

そしてね。

私の似顔絵をこっそり描いてたんだよ。

私は嬉しくってその似顔絵、もらって帰って部屋に飾ってるの。

うふふ!

だって超可愛く描いてくれてるんだもん。

私の宝物だよ。

私は颯くんにとって妖精のように明るく可愛くなれてるかな?




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