第三話 桶狭間の戦い  

 尾張統一からしばらくして、信長は家臣を集めて会議を始めた。


「親父がなし得なかった尾張は統一したぞ

 しかし、戦乱の世を終わらせるなんて大見得切っちまったからなぁ~

 …次はどうしたら良いと思う?」

 信長は集めた家臣に意見を求めた。

「美濃の斎藤とは同盟しているので、今の驚異は駿河の今川ですな」

 家老の柴田勝家が現状を説明する。


「でも、今川は三河の混乱で忙しいんじゃないの?」

 信長が首を傾げる。

「今川が本気になれば三河制圧など造作もないこと…

 元々は松平家の地元、松平元康を使って混乱を治めたようです」

「そうか…竹千代は三河に戻ったのか…」

 信長は少し嬉しそうだった。


「義元は将軍の親戚だと言ってるから、三河が収まれば京へ向かうでしょうな」

「上洛か?京へ行くには尾張ここ通るよな?

 やっぱり一戦交えなきゃいけないのかぁ…、嫌だなぁ…」

 信長は頭を抱えた。

「信長様!そんな弱気では戦乱の世を終わりに出来ませんよ!

 それにこれは今川を倒す好機ではありませんか!」

 隣で聞いていた帰蝶が渇を入れる。

「殿、帰蝶様の言う通りです!

 上洛となれば義元自身が出張って来ます

 その義元を討ち取れば、織田家は一躍有名大名になりますぞ!」

 勝家も力説する。

「それはそうだけど………

 今川は甲斐の武田、相模の北条と三国同盟を結んだんだろ?

 うちとじゃあ、戦力差があり過ぎるぞ」

 信長はいまいち気が乗らない。

「確かに……、今から戦力を増やすと言う訳にはいきませんな」

 勝家も頭を悩ませた。


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