第20話
ひなたは、俺にしつこく『結婚しよう』と言ってくるけれど、そんなものは俺が一番したいに決まっている。
本当なら引き出しの奥で眠っている婚姻届けを引っ掴んで、今すぐに家を飛び出して、役所の時間外窓口に居る担当者に叩きつけてしまいたい。
家に戻ったら、どれだけひなたにせがまれても絶対に付けていた避妊具を全部ゴミ箱に投げ入れて、ひなたを抱く。
ひなたがどれだけ嫌がろうと、ベッドに縛り付けて、会社を無断欠勤して、ひなたの携帯も俺の携帯も電源を落として、一日中ずっと中出しし続けて、ガキを作る。
そうすれば俺はそれを理由にして家事は一切するなと言えるし、ひなたの友達とバイト先にも、あいつは悪阻が酷いから外に出れません、と堂々と言える。
料理なんて全部俺がするし、朝昼晩ひなたの好物だけを作って、ひなたが手も使わなくて良いように一口ずつ食べさせる。
ひなたが暇しないようにいくらでも話し相手になるし、俺が仕事の時は、ひなたが好きそうな少女趣味の漫画も山ほど買ってきて、ハッピーエンドにまみれたフィクションに溺れさせる。
もしもひなたが読むのに疲れてきたら、俺がひなたを膝の上に乗せて代わりに幾らでもページを捲る。
悪阻が終わる頃の時期になったら、ひなたの甘いもの好きに拍車が掛かってるかもしれないから、毎日ひなたが食べたいと言うお菓子を食べさせる。
でも妊娠中のひなたには添加物とか人口甘味料だとかは食わせたくないから、必ず俺が手作りする。
子供が生まれて成長したら多分ひなたは仕事をすると言い出すだろうから、その時はもう一度中出ししてガキを作って、そんな阿呆なこと言わないようにしてしまえば良い。
もう、何もひなたに触れなくて良い。
ひなたを惑わせなくて良い。俺とひなたの邪魔をしなくて良い。
ひなたのためだけに作られた世界には、俺と、俺たちの遺伝子で形成された子供だけが居れば良い。
その中で一生笑っていれば良い。
俺だけと話して、俺だけに笑って、俺だけにキスして、俺だけに抱かれて、俺だけの眼に映って、俺だけのために生きて、俺だけに俺だけに俺だけに俺だけに俺だけに俺だけに、愛されていれば良い。
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