桃ノ白花
クラル
世界ノ降り立つ日
夢を見た。金髪の少女が戦っている。 正面には大きな怪物、周りには四人の男。少年もいれば綺麗な青年もいる。それぞれが武器を手にしたゲームの世界の夢。ゲーム…?グラフィックがあまりにも美しいから現実かもしれない。夢だからどうだっていい。そう思い直して朝の支度を始める。今日は卒業式振りに中学時代の友達に会う日だ。髪を丁寧に梳き始めて一つに結ぶ。
あまりに夢がリアルだった。どこか引っかかる。
異世界、創作としてフィクションとして憧れはあった。
平凡な主人公がある日突然チート能力を授かる、そんな突飛な話はそこまで好きじゃ無かった。医者や料理人が前世の知識を生かして生き抜く様子を写したのは結構好きだ。まあ私には何の才能もない。ただの高校生だ。義務教育が終わったのも一か月と少し前。あの夢で活躍していた少女のようにはなれない。
「あ、かわいい娘来た!!」
「君、初めまして!名前はなーに?」
「私はリン!この世界を説明してあげる!」
遡ること数時間前。乗用車が赤信号を突っ切ってきた。私はその犠牲者の一人になった。そして魔法陣の上で目が覚めた。紫色に怪しく光り輝いている。絶対に普通の日常とは違う何かだ。信じられないが、異世界…?異世界ならトラックに引かれないんだ。中途半端な知識のお陰で疑問に思う。何も分からないため「リン」と名乗った少女の話に耳を傾けた…。
桃ノ白花 クラル @clarnoohanasi
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