第27話 梅田ダンジョンの中層に挑戦します

 先日19階層まで進んだ。


 そして今度20階層に挑戦する。


 ユキの新スキル氷迅爪(ひょうじんそう)を試したい。


 先日、俺たちは梅田ダンジョンの19階層まで踏破した。

 そして今日、いよいよ――20階層に挑戦する。


 ここからが中層と呼ばれる領域だ。

 モンスターの強さも一段上がり、これまでの感覚では通用しないと言われている。


「……天都。準備、できた?」


 ユキが隣で小さく首を傾げた。

 彼女の中には、先日新たに得たスキル【氷迅爪(ひょうじんそう)】が眠っている。


 スキルカードではない。

 ユキ自身が進化し、スキルそのものを身体に取り込んだのだ。


「もちろん。ユキの新しい力、試すのが楽しみだよ」


 俺は微笑み返し、20階層へと踏み出す。



 20階層に足を踏み入れた瞬間、空気が一変した。

 壁には奇妙なツタが絡まり、空気は湿り、わずかに腐臭を含んでいる。


 すぐに、俺たちの前に影が滑り出てきた。


 ――【ダークバイパー】

 黒い鱗に覆われた巨大な毒蛇だ。

 その長さは4メートルを超え、睨みつける目には殺意が宿っていた。


「ユキ、いけるか?」


「うん。……見てて」


 ユキの掌が微かに冷たく光る。


 次の瞬間、彼女の手に――氷の爪が自然と形作られた。

 鋭利な冷気の刃、それがユキ自身の力として現れたのだ。


「はっ!」


 ユキが跳びかかる。

 氷迅爪がダークバイパーの鱗を裂き、その部分が一気に凍りつく。


 ――ギギギギッ!


 ダークバイパーがもがく間にも、ユキは畳みかける。

 氷迅爪の効果で、斬撃ごとに敵の動きが鈍り、連撃を防げなくなっている。


「――終わり!」


 ユキが跳躍し、首元に強烈な一撃を叩き込む。

 黒い蛇は声を上げることもできず、凍りながら砕け散った。


 勝利。


「すごいな、ユキ。スキルが……完全に自分のものになってる」


 俺は思わず言葉を漏らした。

 普通、スキルカードを使って発動するものなのに、ユキは体の一部のように操っている。


「うん……。私の中に、ちゃんと溶けた」


 ユキは小さく微笑んだ。


 中層最初の試練を乗り越えた俺たちは、さらに深みへと足を踏み入れる。


 だが、当然この先は、もっと強大な敵が待っているだろう。


 ――でも、大丈夫だ。


 俺には、ユキがいるから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る