第26話 スキル融合
翌日。
俺はユキとともに、ダンジョンギルドの裏手にある“スキル工房”を訪れていた。
スキル工房――
それはスキルカードの鑑定や強化、そして“融合”を行う特別な施設。
ごく一部の限られたテイマーしか使用を許されていないが、俺たちは先日の白狼王撃破で得た特例許可で中に入ることができた。
工房は静かで、無機質な空気に包まれていた。
「……なんか、研究所って感じだな」
白衣を着た職員が、俺たちを案内する。
「スキルカード二枚ですね。どれを融合させますか?」
「この二つ――【疾風爪】と【氷華牙】だ」
職員の目が一瞬だけ光ったように見えた。
「なるほど……“速さ”と“凍結”の融合。興味深いですね。うまくいけば強力なスキルになるでしょう。ただし――」
「成功確率は?」
「……38%。失敗すれば、両方のスキルカードは消失します」
ユキが一歩前に出る。
「やる。……その価値はあると思う」
俺は頷いた。
「ユキがいいなら、俺は信じる」
職員は黙ってカードを融合装置へとセットした。
「それでは、融合を開始します――」
機械の中心に設置されたスキルカードが、ゆっくりと回転しはじめた。
青と白の光が絡み合い、空間が微かに震える。
――ゴォォォォ……
光が激しくなり、何かが生まれる気配。
ユキが目を閉じ、何かを感じ取るように微かに呟いた。
「……牙と風が……氷の爪に溶けて……一つになる」
ズン、と重たい音が空気を揺らす。
そして、融合は――
「……完了しました」
職員の声に、俺たちは目を開ける。
そこには、一枚の新たなスキルカードが浮かび上がっていた。
【新スキル:氷迅爪(ひょうじんそう)】
ランク:A-
効果:高速で氷の爪を展開し、斬撃と同時に対象を凍結させる。
凍結率は対象の防御力によらず一定確率で発生。
追加効果:「連撃中、対象の動作速度を低下させる」
「……やったな」
ユキがカードを手に取り、目を見開く。
「……これ、すごい。私に、ぴったりのスキル」
嬉しそうに微笑んだその顔を、俺は少し見惚れてしまった。
「じゃあ、次は実戦で試してみるか?」
「うん……! 試したい!」
ユキの瞳がキラリと光る。
融合――それはただの合成じゃない。
可能性の拡張であり、新たな進化の扉だ。
そして、俺たちは――また次の階層へ向かう。
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