第25話
「えっ?」
なんと言ったのか分からなかったので、私は少し大きな声で聞き返す。
そんな私の態度に対して彼は、スケッチブックから覗くようにこちらを見たり、またスケッチブックを見つめたり、キョロキョロと私の様子をしばらく伺った後、
「ど、どうも……」
と、セミの鳴き声の100分の1くらいの大きさで言うと、私がここに現れた理由など全く興味がないと言わんばかりに再び絵を描き始めた。
そのなんとも不可思議で不自然な対応に私は彼の事が気になった。"気になった"と言っても恋とか愛とかそんなものではなく、彼の事が少し心配になったのだと思う。
(彼は今、自分がいる場所がどこか分かっているのかな?)
(彼はちゃんとご飯を食べているのかな?)
そんな事を心配させるくらい彼の声は弱々しく、態度はオドオドとしていた。
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