第24話
私が色鉛筆を拾ったのを、彼はスケッチブック越しに覗き込むようにして確認する。そして、スケッチブックを顔の前に掲げたまま、ゆっくりと私に近づき、手を差し出した。
「はいっ」
私はそう言って水色の色鉛筆を彼の手の上にそっと置いてあげた。すると彼は何も言わず、スケッチブックに目をやったまま、元居た場所に戻って座った。
私は、お母さんやお姉ちゃんのように口うるさいほうではない。しかし、おそらく彼は私より年下だろうし、さきほどの不良連中に遭遇したせいで少しイライラしていたせいか、
「お礼くらい言ったら?」
と、それほど強くない口調ではあったが、彼に言ってしまったのだ。
すると彼は、スケッチブックで顔を隠すようにしたままボソボソと何か言った。
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