第2話「スラム」
7.オープニング
GM:少し早いですが揃っているので始めましょう。
GM:成長報告から。エルヴィン、お願いします。
エルヴィン:器用と生命が成長して、バトルダンサーを7レベルに上げました。戦闘特技は《武器習熟A/ソード》を習得。魔香草3個、受益者のシンボル、アイソアーマスクを購入。以上です。
エルヴィン:武器更新したいけど、アイソアーマスクはあまりに効率がいいので先に。
GM:はい。では次にミリティアナお願いします。
ミリティアナ:はい。
ミリティアナ:知力24→25、精神力24→25へ、ドルイド6→7へ、《武器習熟S/スタッフ》を習得、知力の指輪を1個購入しました。以上です。
GM:はい。では次にイーリスお願いします。
イーリス:能力値:器用度17→18、精神力23→24、技能:レンジャー4→5。以上だ。お金は聖王の冠やセービングマントなどに貯金だ。
GM:はい。最後にリズベット。
リズベット:知力筋力が上昇。コンジャラー2に成長。消耗品を補充。
GM:ではシナリオを始めます。まずはマスターシーンです。
GM:特務部隊の活躍と仮面の男ヴァイスの起こした変遷により、食糧問題は解決したと言っても良い状況にあった。
GM:カロリーバーは高い栄養価を誇る。それ1本で一日の食事を賄うことができ、素朴な味わいもあって早くも民衆に受け入れられていた。
GM:食料品の高騰も解消され、ひとまずのところオルドレーネ王国は非常事態を脱したと言って良いだろう。
GM:ちなみにマギテック協会が魔動機により糸と布を生成できるため衣類については服飾ギルドが供給しており、国は衣食住が満たされた状態である。
GM:ともあれ問題は日々、噴出している。今日もまた、謁見の間にて商人ギルドのカニーナが女王ヨルに厄介事を持ち込んでいた。
カニーナ:「こちらを御覧ください」
GM:カニーナが侍女アリーゼにふたつの髪飾りを渡した。アリーゼは髪飾りをサッと検分して危険がないことを確かめてから、女王ヨルに渡す。
GM:その髪飾りはありふれたものだが、そっくり同じ形をしていた。
カニーナ:「ご存知のように、ここ新オルドレーネ王国には最初から住居がそっくりそのまま用意されていました。場合によっては家具も。そして、その中身さえ」
カニーナ:「そちらの髪飾りは故国から持ち出したはずの商品ですが、倉庫に何故かまったく同じものが存在しておりました。これは特段、珍しいことではなく、住居にあった家具に中身が入っており、持ち出したはずの物品が存在していた、という話は枚挙に暇がありません」
ヨル:「ええ。城の宝物庫から持ち出したはずのものがこの城の宝物庫にもあり、重複して存在しているというようなことは私も把握しています。民衆の間でも衣類、宝飾品などの重複が起きているのですよね」
カニーナ:「はい。衣類については単純に着替えが増えてありがたいことですし、宝飾品についてはいささか迷うところですが、価値の暴落もなく取引されています」
カニーナ:「置き去りにしてきた家畜や騎獣が何故かここで生活していた、と聞いても同列に考えてもよろしい事象でしょう。連れ出したはずの騎獣の重複も確認されていますが、特に同一個体が複数いても問題は起きていません」
ヨル:「そのようですね。それで?」
カニーナ:「実は生きた人間が重複している事例が存在していることが発覚しまして」
GM:アリーゼの表情が強ばる。兄エルヴィンについての話だと思ったからだ。ヨルもアリーゼに一瞬、視線を向けた。
カニーナ:「あー……いえ失礼。残念ながらエルヴィン・フランツの話ではありません。難民として故国からここまでやって来た、人間のひとりなのです」
ヨル:「それは……1ヶ月以上もして今更、発覚したのですか?それまで重複して生きていた人間はどのように生活を?」
カニーナ:「彼の名はガンズ。スラムの住人でして、把握が遅れたのはそのためです」
カニーナ:「本来のガンズは空き家を住まいにしてスラム暮らしを辞めており、更生してまっとうな仕事をして生活をしています。そして重複しているガンズの方は、元のままスラムで生活していたため、ガンズがふたりいることに気づくのが遅れました」
カニーナ:「で、こちらが依頼されていた王国民の戸籍になります。完成に時間がかかり、申し訳ありませんでした」
GM:カニーナがバインダーに挟まれた書類の束を従者に運ばせてきた。分厚いその一部をハムラが取り、ヨルへと渡す。
GM:ヨルはパラパラと戸籍の一部に目を通した。新オルドレーネ王国の人口は約3000人。王国再建時の混乱期を含めて1ヶ月ちょっとで作成できたのは、もともと難民時代の名簿があったからだ。
GM:十分に早い仕事にヨルは満足した。
ヨル:「大変な文官仕事を任せられて助かります。むしろよくやってくれていると思っていますよ」
カニーナ:「大変光栄なお言葉です。それでですね……実はひとつ困ったことがありまして」
ヨル:「それが今日の本題ですか。一体、何事です?」
カニーナ:「先程、話題にのぼったガンズを発見した自警団の面々がスラムにて魔神を見かけたとの報告がありました。至急、スラムを徹底的に捜索して魔神を排除せねばなりません」
ヨル:「魔神がスラムに……冒険者では駄目なのですか?」
カニーナ:「自警団の者たちが言うには、何の魔神か分からなかった、との報告があります。多忙で恐縮ですが、特務部隊に出動して頂くのが確実かと」
ヨル:「騎士団も冒険者も練度が問題ですね。分かりました。特務部隊に頼みます。……リズベット、特務部隊に招集をかけてください」
リズベット:「かしこまりました」
GM:かくして特務部隊が招集されたのだった。
エルヴィン:なるほど、面白い着眼点の導入ですね。
ミリティアナ:取りあえずは、魔神探しかー。
GM:ふむ。まあ奈落の魔域でコピーされた王国は模倣であって完全に地上のものではないという話でした。
GM:では次のシーンは、エルヴィンのみ登場です。
エルヴィン:はい
GM:君は夢の中で戦っていた。相手は師匠とも言える“剣匠卿”クリストフだ。騎士団に推薦してくれた恩人であり、稀に模擬戦をしてくれる。
GM:だが圧倒的な強さのクリストフにエルヴィンはまったく歯が立たない。何度も剣を打ち込んでも回避されるか、宝剣「白鴉」で受けられてしまう。
エルヴィン:それなりに技量は身についてきたころかと思うけど、赤子のようにあしらわれているんですね。
GM:王国で一番強かったんでしょう。多分、レベル差がありすぎますね。
クリストフ:「エルヴィン、格上を相手に守りを固めることは悪いことではない。だが倒す手を緩めることは決してしてはならない」
エルヴィン:「そんなこと言っても師匠、俺が師匠相手に攻めようとしたら10秒持たないぜ」と、言い返そうとはするけど、多分クリストフが言っていることが正しいんだよなあ
クリストフ:「それでもだ。お前の剣は軽すぎる。――手本を見せてやろう」
GM:クリストフの宝剣「白鴉」が雷を纏う。
GM:ガッ!!!!
GM:君の持つ剣は閃光を受けて弾き飛ばされた。手には痺れが残っている。
エルヴィン:「なんだ……今の。カッケェよ師匠、どうやったんだ!?」多分まだ成人前くらいの年齢のときということで
クリストフ:「【オルドレーネ疾風迅雷の剣の理】、《迅雷》だ。よく見覚えておけ」
エルヴィン:「……はい!」さすがにタメ口は無礼だな
GM:君にこのような技があれば、魔神を相手に大きな一撃を放てるだろう。
GM:クリストフの声が聞こえる。「よく見覚えておけ」。そうだ、君は見て覚えている。あの技は――。
GM:流派【オルドレーネ疾風迅雷の剣の理】に入門しました。
《迅雷》の効果は、雷属性の武器攻撃を行い命中させたとき、対象の「○雷無効・軽減」を喪失させ、「○迅雷 雷属性被ダメージ+3」を付与(4回まで累積)する、という武器攻撃に際して宣言する特技だ。
GM:宝剣「白鴉」のデータが上書きされました。
備考欄に「※属性武器〈雷〉+1/消費MP1」が追加される。ただし、この武器に「妖精の武器」の加工を施すことはできません、という文言も追加された。
GM:――思い出した。君はあの技を己のものとして、使えるはずなのだ。
エルヴィン:目覚めていいんですか?
エルヴィン:夢の中のまま?
GM:習得して構いませんよ。
エルヴィン:じゃあ、朝目が覚めてからちょっと演出をしておきましょう
エルヴィン:「昔の夢か……。なぜだろう、いくら練習してもできなかったあれが、今ならできる気がする」
GM:はい。ではシーンエンド。次は全員登場ですよ。
GM:君たちは特務部隊のために用意されている作戦指令室に集まっていた。
GM:ここにはヨル女王、騎士ハムラ、侍女アリーゼ、そして君たちの4人がいる。
イーリス:日課の【クリーン・クロース】の処理だけ(コロコロ)
ヨル:「スラムに潜む魔神を探し出し、討伐してください。自警団が言うには見たことのない魔神とのことです」
イーリス:「魔神か」
ミリティアナ:「……スラムとは言え、城下に魔神は由々しき事態なのです……」
ミリティアナ:でも、防げないんだよなぁ……ピュアソウルガッデム。
エルヴィン:「魔神といえば大小さまざまだが、目標はスラムに潜伏するのが難しくないサイズなのか?」
エルヴィン:「人間大の魔神は厄介だ。操霊魔法を使えれば、幻覚の魔法で違和感なく人の中に紛れ込めるからな」
イーリス:「外見の特徴などは?」ミリティアナならわかるかもしれない
ミリティアナ:ふむ、外聞とかはわかるんだろうか
ヨル:「形状については残念ながら聞き及んではいません。しかし見たことのない魔神だったとのことなので直接、見て特徴を捉えるのが良いでしょう」
ミリティアナ:「むぅ……直接確かめるしかないのです」
エルヴィン:その報告だと、「体長3m以上あります!」みたいな感じではなさそうですね
GM:練度の低い自警団たちなのでちゃんとした目撃証言も得られない。よわよわなので逃げるので精一杯だったのだ。
ミリティアナ:まぁ、しょうがないね。死んだらこの報告もなかった。
イーリス:多分魔神、くらいの状態ね 大きさくらいはわかるだろうが。
エルヴィン:「王国内部に敵が入り込んでいるのは看過できません。我々が速やかに排除いたします」
ヨル:「スラムは自警団の手が行き届かず放置されています。スラムの住人にも注意してください。ガンズという男がスラムではリーダー格であると目されています」
ヨル:「それでは準備ができ次第、スラムの探索をお願いします」
リズベット:「女王陛下の仰せのままに」
ミリティアナ:「お任せ下さいなのです」
エルヴィン:「女王陛下の仰せのままに」
イーリス:「承ろう」
ハムラ:「ミリティアナ、魔神も怖いがやはり人族も怖いものだ。十分に注意して欲しい」
ミリティアナ:「むぅ……分かっているのです」
アリーゼ:「兄上、ご無事でのお戻りを願っております」
エルヴィン:そういっても目を合わせてはくれないんだろうなあ。
エルヴィン:「ああ、アリーゼ。心配しなくていい」
アリーゼ:視線くらい向けますよ、まあ以前より距離感を感じるくらいで。
エルヴィン:そうか、それはよかった
エルヴィン:そうか、こういうシナリオがあるならベガー技能とか持っておいても面白かったなあ。
GM:というわけで、準備がなければスラムへGOです。今回は第1話のように野外探索もないのでスピーディー。
ミリティアナ:準備は大丈夫かな。
イーリス:とくに準備はないな。
エルヴィン:こっちはないかなあ。
GM:ではスラムへGO。
私がGMをする場合、このようにゲームバランスに影響を与える強力なオリジナルデータを渡すことが多い。
今回、先駆けてエルヴィンに
正直なところGMとしては前回のボス戦が長引いたのが不満だった。だからまずテコ入れとしてエルヴィンに強化を施したわけだ。
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