美咲2

「で?どうしたの?また、お袋に説教された?」美咲が、やっとスマホから顔を上げた。美咲は、表面的には彩香の話に興味を持っているように見せながらも、実際には自身の仕事のストレスや恋愛の悩みを抱えており、少し気が散っていた。


「いやいや、今回は全然違う!すごく変わっていたの!」彩香は、目を輝かせながら説明を始めた。「まず、髪が伸びていた!あの、いつもオールバックにしていた髪が、肩まであるロングヘア!さらに、ヒゲも生やしていて、まるで別人!」


美咲は、想像して吹き出した。「えーっ!ケンジが?マジかよ!笑える!」


彩香は、さらに続けた。「しかも、服装が!あの、いつもブランド物のスーツだったのに、古着っぽい服を着て、リュック背負っていた!そして、信じられないことに、彼は…路上で大道芸をしていたの!」


美咲は、もはや笑い転げている。「マジかよ!ケンジが大道芸人!?」


「そう!しかも、下手くそだった!バランスボールの上でアクロバットに挑戦していたけど、見事に転んでいた!笑った!」彩香は、当時の光景を思い出し、声を上げて笑った。彩香は、心の奥底で感じていたモヤモヤが、ケンジの変貌を見たことで少し晴れた気がした。


「あのマザコンの坊っちゃんが…まさか…!」美咲は、涙目で笑いを堪えている。美咲も、笑いながら少しだけ自身の悩みを忘れることができ、彩香に感謝していた。


「人生って、何が起きるか分からないよね!」彩香は、カフェラテを一口飲んで言った。「でも、なんだか、あの時の恨みは、全部消えたかも!」


美咲は、大きくうなずいた。「だよね!あの、高級バッグの恨みは消えた?」


彩香は、ニヤリと笑った。「それは、まだね。」


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