第3.5話 籠絡

 あれから1ヶ月。

 湯浅の誘いは全てスルーして、反応をみていた。

『曖昧な態度を取ったら湯浅はどうするのか?』

もし湯浅が他の男に走るなら、誰にでも尾を振る雌犬に成り下がるかも知れない。

まぁ、それはそれで仕方ないのだが。


「そう言えばさ…美優ちゃん、この間の合コンでさ…」

 月曜日、大学にて。

真中と2人っきりで話しをしていたら、先週土曜日の他大学との合コンの話をし始めた。

何でも、真中、湯浅、新藤と、あと新藤の知り合い4人で他大学の合コンに行ったらしい。

「美優ちゃん、凄い酔っ払って、向こうの男子2人に送って貰ってたんだけど…」

「だけど?」

「あれから、何かおかしいの。」

「おかしいって?」

「何だか、考え込んでしまっているって言うか…」

「何それ?何かあったってこと?」

「美優ちゃんに聞いても、何もなかったって言うだけで…」

「で?」

「で、昨日、金曜日に私たちに何も言わずにささっと帰ってたのよね。今までそんなこと、無かったのに。明らかに様子がおかしいって言うか…」

「気のせいじゃない?」

「…だと良いんだけど…」

ふーん…としか言うようがない。

こればかりは何とも。

ただ、何があったかは、容易に想像がついた。


 真中が土曜に湯浅に会いに行ったら、美優は髪の毛をベリーショートまで刈り込んで、さらに綺麗な黒髪を金髪にして、ピアスまであけていてびっくりしたと、慌てふためいた真中が電話して来た。


 まぁ…ショックな出来事があったんだろうな。

さすがに他の男に走る女は、候補から言ってもダメだ。

関係ないか、と思っていた矢先。


 土曜日午後1時30分。

ドアのチャイムが鳴った。

宗教の勧誘か何かなんだろう、勘弁してくれ、と思って出たら、金髪ベリーショートの大柄な女が、泣きそうな顔でドアの前に立っていた。


「…ごめんなさい…」

「どうしたの?…髪、染めたんだね。似合ってるよ。」

そう言って部屋に通す。

涙を落としながら、項垂れている湯浅。


「…わ、私…」

「どうしたの?」

「寂しくなって…」 

さらに涙を溢れさせた。

俺は追い討ちをかけるように冷たく言い放つ。

「男と寝たの?」

そこで美優は声をあげて号泣し始めた。


 顛末。

あの合コンの日に、2人の男に送りオオカミされたらしい。

いわゆる3P。

酒に酔い過ぎたせいか、抵抗らしい抵抗も出来ずに嬲られて犯された。

全然気持ち良くなくて、痛かった。

きっと俺を裏切った天罰なんだ、と思っていたら、金曜日に2人がまたやって来た、と。


「…で、またヤったの?」

俺はわざとキツい口調で尋ねてみた。

さらに号泣する美優。

「…追い返した。」

「…なんで?」

「修くん以外とは嫌だったから…」

「でも、ヤったんだろ?」

 また、冷たく言い放つ。

美優は俯いて、さらに涙を落とした。

キリがない。


「…許して…」

懇願するように声を絞り出す。

「何を?」

また黙る美優。

憔悴してるのだろう。

…だから、さらに追い討ちをする必要があった。

湯浅を隷属させるためには。

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