「不倫してたら妻が亡くなった」なんて言われたら、女は読まずにはいられないじゃないですか。PVがぐんぐん伸びているのは、カクヨムに登録してない読者さんにも同様にキャッチコピーがグサリと刺さり、読まずにいられなかった人がたくさんいたからではないかと思います。
もう何年もの間、不倫をしている主人公・太一は、癌を患った妻の早和を形ばかりの悲しみのポーズで冷たく見送った。この物語は、太一のそれからのお話です。
生きている太一を描くシーンとシーンの間に挟み込まれる、今はもういない早和の想いがとにかく切ない。だって中一の頃に二人は出会って、三年生の時には彼に恋をしていたんです。それからずっとずっと、二人の思い出を幾つも積み重ねてきたんです。それなのに……。
今人気の、いわゆるスカッと復讐系ではありません。でも、妻の深い愛情が、離れてしまった夫の目に涙を滲ませるまでの心の動きを、ぜひこのレビューに目を留めてくださったあなたにも追いかけてほしいです。