第2話 かつての手下たちを下す


7かつての手下たちを下して、地位を固める


「何やら、この創業者の親族の息子と仲が良いらしいじゃない」

「生意気よ、ジャー島のくせに」

 会社にいるかつての手下たちは、あの業務外の野球試合で、城市と仲良くなっていると誤解して、やっんだらしい。会社ですれ違うとき、聞こえよがしにその声が聞こえて来た。

 私が社員として就職したことを、同じ会社に就職して、前からよく思ってなかった元取り巻きたち。

 もともとくすぶり続けていた火種が、夏でもないのに暑い初夏の日が続いた時、とうとう燃え広がった。

 その元手下たちが、工場の地下で会った時、私を取り囲んだ。

「ねえーん、良いんですか?沢島さん、高校の時のトラブル、上に言っても」

「そうそう、あれだけ恥、かいたんだから、総務部になんていられないでしょ。私と代わってくださいよ。その仕事、楽そうですよね」

「高校の時は、私らを手下扱いだったのに、今また大きな顔されるのは気に障りますね、ジャー島犬のくせに」

「私らよりもらってるんですよね?じゃあ、金出してくださいよ。前はよく出してくれたじゃないですか」

 こうなると思った・・・

 かつては元手下。

 同級生という、もう同じ立ち位置でなくなった彼らは、カースト制度の名残で、私を目の敵にするのは分かっていた。

 元手下のくせに、私の前で大きな顔をするなんて、大間違いだわ。言いたければ、言えばいい。どうなろうと私は構わない。生き抜く術はどこにでもある。

 それに私の仕事はかなり長時間の業務上の知識を経て成り立つものだ、簡単に誰でも出来るものじゃない。いきなり代われると思っている奴らは、その時点で問題認識に間違いがある。

(何よ、高校の時は私のさんざんすり寄り、失敗したと思ったら、とたんに見放して、悪口言い出したんだから、こいつら。私の家でさんざん、飲み食いして、おべっか使ってたくせに)

 今更、裏切る気?

 まあ、高校の時にはもう、裏切ってたわね。

「何よ、あんたたち、昔はすり寄って、今は貶める気?」

「さあ、どうですか?私らと沢島さんの仲じゃないですか」

「沢島さんと私ら。そもそも、仲良かった?」

 クスクス。

 鬼の目だ。フフフ。くすくす。笑って、三角のとんがった目をしてる。

 さんざん、私にすり寄ったくせに。

 今ではさんざん、お邪魔虫犬だの、ジャー島だの、バカにしてくれたわね。

 でも、バカにして笑ったら、私が落ちると思ったら、大間違いだわ。

 この超美貌、頭脳優秀、超お嬢様の私が、あんたらなんかに、負けるわけがない。

「いったい何なの、あんたら、高校の時のそれが?」

「ふうん、まあ、大口叩けるものね、まあ、あれから4年経った。それなりに、記憶も薄れたわ。私達も、もう、大人だものね。お互い生活があるし、あんたもこの仕事、失ったら困るわけでしょ?」

「だったら、何か出しなさいよ。誠意っていうやつ」

 くすくす。

「高校時代の時のことを、いつまでも言うなんて、子供ね。いい加減、大人になれば?大人って言うんなら、私達はもう、社会人なのですよ」

「何よ、生意気よ、ジャー島のくせに」

「そうよ、ジャー島が大人になったって、ジャー島であることに変わりがないでしょ」

 ニタニタ。

「これからはいくらでも、自由に、人生を楽しく、自分の思う通りに出来るわよ。なのに、なんで、あんたらは些細なことにこだわってるの?あんたら、まだ私が妬ましいの?」

「なんで、私らがあんたなんか」

「そうよ、お邪魔虫の犬のくせに」

「違うの?私に取りついて。まるで、前と同じだからさ。あんたらが私の下で妬んでるんじゃないの?つまり、いつまでも金魚のフンよ。私がお嬢様で優秀で美しいって断言できるけど、自分らが断言できないから、私に八つ当たりしているのよ」

「誰が、あんたなんか、うらやましがるわけないでしょ」

「ジャー島犬のくせに」

「あんたら、いい加減、昔のことなど、縁を切れば?何を、いつまで、引きずってるのよ」

「なっ・・・それはこっちのセリフよ」

「あんたら、それで人生、楽しいの?」

「なによ、ジャー島のくせに偉そうに」

「ジャー島が何を言えたものなのよ」

 よっぽど図星だったのか、手下たちは私の肩を突いたり、頬をはたいたり。

「君ら、何をしている」

 そこへ、上の階段から背広を着たおじさんらが降りて来た。どちらも頭の禿げ上がった中年のおじさんらで、一番前にいるのが社長。後ろにつきしたがっているのは、専務、人事部の部長。

(そう・・・私は、この時間帯に、社長らが社内を巡回するのを待ち伏せていたのだ)

 知っていて、今、この時に、手下たちと社長と対面するようにしたのだ。

 私も用もなくうろうろ出来ないが、この時間にここを通ったり、書類を渡す用事をしたり。この時間にいつも、私も来るようにしていた。

 ーーいつか、手下たちがつっかかってくると思っていたから。

「社長、かつての同級生らに、私、高校時代の恋愛のことでからかわれてたんですけど、ひどいことはされていません」

「お?・・・お、うん」

 この社長は、弱気でうむしか言わないことで有名。

 そのため、先に言ったほうが、事実を上塗り出来る。すなわち、白を黒にでも反覆させられる。

 少々汚いことでもするわよ。私も駄犬の烙印を押された身で、綺麗事など言ってられない。生き残るためには、社長の権威でも利用するのだ。

「社長、私も高校の時は若気の至りで、少々はっちゃけていたかもしれませんが、若い時は誰もがはっちゃけるものですもの。社長もそうだったのでしょ?私も今は、良い社会人です。真面目に働いております。彼女たちもです。これからはお互い、我が社の職員ですから、仲良くしませんとね」

「う、うむ、そうだ、沢島君の言った通り、お互い大事にし合わないとな。皆、会社の社員は家族。同じ会社の社員。仲良くしなさい」

 やはり、大人しい社長は、私の言った通りに動いた。

「は・・・はい」

 言われた元手下たちは、急にしゅんとなった。

 思った通り、言ったが勝ち。

「たく、いじめかよ」

「ちっ、面倒だな。社長の言う通りだ、社内で揉め事を起こすなよ」

 その後、専務と人事部長も続いて、けげんな顔をして通り過ぎ、元手下たちは何も言えず、黙って通り過ぎるのを待った。

 社長、専務、人事部部長と続いて睨まれたら、元手下どもはぐうの音も出ない。

「ほら、社長がああ言ってるのに、仲良くしないと、査定に響くわよ」

「なっ・・・」

 最後にトドメの一撃。これで、もう二度と、浮上して来ないだろう。

 手下たちは泣きそうな顔をしていて、もう、それ以上、争う気はなさそうだった。査定とか、給料、立場に響くことが、社員の泣き所となる。それを突かれたら、もはや黙るしかない。

 私はこれ幸いに、社長の巡回の後について、その場を去った。

(やった。これで、しばらくあいつら、大人しいでしょうね。特にもう、会社内では私に絡んで来ないはず)

 社内の問題、片付け、完了。

「社長、もっとしっかり言ってくださいよ。だから、会社買収なんて言われるんですよ」

「う、うむ」

「こ、これ、沢島君、社長だぞ」

「いいんだ、同じ社内の者同士、仲良くが基本だ。沢島君がそれを率先してくれるなら、支持すべきだ、沢島君は入って早々、不正も見つけてくれた。有能社員だよ。それに、我が社を心配して言ってくれてるんだろう。そのように直言を怖れず、親身になって言ってくれる社員は貴重だ。叱らないで聞いておきなさい」

「は、はあ」

「やっぱり社長、優しいから、好きです」

 機嫌を良くした私は、社長をばんばんと叩く。

「こ、これ、君」

「いいんだ」

 周りが私の勢いに飲まれていたけど、社長は気にしてなかった。

「もっと噛みついてやればいいんですよ。我が社に損を与える人間や会社なんて」

「う。う、む、そうだな。沢島君は面白い子だ。これから頼りにしているよ」

 社長は戸惑いながらむせていたが、それでも笑顔でにこにこだ。

 私、分かっていたわ。社長って誰にとってもフランクなの。でも周りが気を使って言わない。それを残念に思っている。でも優しくて大人しい社長だから、それも黙っているだけ。だから、こうしたら喜ぶって。

 そういうところ、やっぱり社長だ。それに、私のことも大らかに理解してくれる。ただ大人しいだけでない、こう見えて懐深いのだ。

 私はこの社長に恩返しをしたいわ。高校から死に物狂いで大学を出てから、私を最初に受け入れてくれたの、この会社の社長だもの。

(ぜったい、この社長、良い人、私、この恩義、返すわ。いいえ、必ず晴らしてやろうほどに、待ってなさい)

 と決意した。恨みでもないけど、恨み晴らすぐらい思った。

 だって、この恩義をちゃんと晴らしたいもの、私は。




「よく相手を調べ、タイミング良く、相手を下す。さすが」

 ぱん、ぱん、ぱん、と手を叩いて、階段の廊下の影から出て来た人物がいる。

 髪を後ろに流し、灰色のスーツを着た若い男性だ。社長の孫の城市茂次郎。今さっき、社長の顔を見たから分かる。半分ぐらい似てる。

 何を言いたいのか。社長の孫が。今のシーンを見られたなら、また昔のように私をあざ笑うだけかもしれない。

「何のことですか」

 すべては済んだから、私は素知らぬふりをし、去ろうとした。けど、階段を移動するには、前を横切るしかない。

「人間もいろいろいる。会社の中だと、さらにいろいろな感情や思惑が絡む。しかし、君だけに複雑なことを抱えさせる。会社としては受け皿としては、それも君に悪い。何か困ったことがあったら、僕に相談すると良い。一人で抱えるより、応援する者にも任せると、楽になる」

「急ぎますので」

 城市茂次郎の言うことは意味が分からない。私を手なづけ、私を支配し、良いようにこき使う気かも。そうはいかない。この私を誰だと思ってるの?超絶孤高の時代を生き抜いた、ピンのジャー島なの。愛人にして手なづけるなんて、ない、ない、ナッシング。







8 かつてのアイドル女子を顎でこき使い下す、が下さず、




 城市茂次郎の存在も気になるけど、あの女が企画部に現れたので、私は終始気が削がれた。

 単なる工場現場の雑務事務員だったが、企画をしたいと移動願を出したそうだった。勤務態度も悪くなく、ちょうど配置換えもあったので、若い人を入れるということで、本人の希望が通ったらしい。

 そうして、最近、企画部には、伊藤エリカが上がって来た。

 同時に、竹内涼も、彼女の伊藤エリカが心配だからと、営業部に希望を出して、これまた通って来た。

(竹内涼まで・・・)

 近い場所に寄ったせいか、竹内君、エリカと呼び合うあの二人の姿を目にする。相変わらず、高校の時と同じで、恋愛カップルをやってる。 





「あ、失敗、もう、私ったらドジ、プンプン」

「もう、伊藤さんは仕方ないなあ、おい、誰か手伝ってやれよ」

 あのかわい子ぶりっ子がヨタヨタと段ボールの荷物を抱え、うんもう、嫌になっちゃうと通路を行き来する。

 がたがたーん。何かが倒れる音。棚でも倒したか。高校の頃から、よくこけたり、ものを落としてたりしてた。それでハプニングが起こって、誰もが彼女を助けていたんだよね。

「エリカ、大丈夫か?」

「あ、竹内君、もう、心配しないで。ぷんぷん。ぷんだ。ここに来ないで。見られたら、ああ、やだ。公私混同って言われちゃう。困っちゃうわ」

「エリカのことを放置できるかよ。お前そそっかしいから、心配だ。俺も営業部にいるから、いつでも頼っていいんだぜ」

「うん、エリカ、頑張る、エヘペロ」

 伊藤エリカの書類。私の手の中にあるものを、ぺらぺらとし、手でパンパンとした。

(今の私なら、あいつを下せる)

 私のほうが立場が上。会社の業務経験も上、仕事も上。いかようにも下せる。失敗をほじくり返したり、無能さを露呈させることも出来る。

「ねえ、伊藤さん、この書類、添付書類の不備だから、もう一度、確認して?」

「え?は、はい」

 企画部に乗り込んで、私は書類を渡した、叩きつけたかもしれない。

「あ、ごめんなさい、沢島さん?今書類ないから、また持って行きます。エヘ」 

 伊藤エリカは高校時代と同じで、何かあっては間違えて、可愛くエヘペロしたら、済むと思ってる。

(自分を可愛いと思っている。まったくあざとい女)

 書類も足らない。相変わらずのドジっぷり。笑顔も何が楽しいのか満面の笑み。

(同じだ。前と同じ。伊藤エリカはドジで一生懸命なふりをして、可愛く取り繕って、男性の目線を釘付けにする。きっと高校を卒業してからも、同じことをし続けて来た)

 そして、周りのことなど眼中にない。私のことも、顔も名前も覚えてない。

「急いで。申請するのに、すぐ必要だから」

 書類を揃えることすら出来ない、ドジで、失敗ばかりで、可愛いだけが特技なんて、あまりに低水準過ぎる。

 言ってやるわ。はっきりとそう。

 高校では負けたけど、社会に出た私たちなら、今は私の勝ち。

(伊藤エリカをようやく下す時が来たわ)

 顔が可愛いだけで、仕事が出来るわけがない。これしきも出来ないようでは、あまりに、低能だわ、って。この超絶仕事マニアの沢島と、比べものにならないわねって。

 言い出しかけたら、なんだか、とたんに、とても小さなことに思えた。

(どうでもいい。凡ミス過ぎて、怒る気にもなれない)

 下そうと思ったけど、私は下さなかった。

 どうせ言ったって、ああそうね、ごめん、エヘペロ。私ってドジだから、エリカ、また一生懸命頑張る、私ってそれだけしか取り得ないからって笑って済ますのが分かる。

 私はあの頃とは違う。社会に出て、立派な人間は、小者など相手にしない。

 それだけ言って、部署を出た。

「おう、こわ。沢島のイジワル、見た?」

「高校の時に、振られた恨み、やり返してるのかな?」

 企画部にも同じ学校の人や地域の人がいて、私のクラスメイトたちから噂が広がっているから、私はまた、陰口を叩かれた。

 同じだ・・・またあの頃と同じ。繰り返した・・・






「そうね、下すけど、下さないってのは、運を上へ向かせてる」

「そう?」

 道端の占い師に占ってもらったら、占い師は大きな虫メガネで手相を見て占ってくれた。

 占い師は、私がよく仕事帰りに利用するショッピングセンターの道で店を開いていて、私と顔見知りになり、何かとアドバイスをしてくれる。

「うん、下そうとしたのに、下さなかったってのは、良かった。運気が上がってる。悪い運気に触れなかったから。とにかく悪いゲンの悪いものには触れないほうがいい」

 確かにそうだけど、勝手に出て来てしまうというか、今は。私だって、何度忘れようと思ったか。

 私も占いなんてと信じぬほうだったけど、年も近いこともあり、私も気軽に会話が出来て、いつの間にか良き相談相手になった。

「アイドル女子、そんなの気にしないで良いのじゃないの?」

「でも、気になるわ、根っからの敵なのに」

「そんなの放っておきなさいよ。過去の亀裂など。ゲンが悪いったら。運気が心気臭いところには臭いものしかないの。昔のものを持ち出しては損よ。それより、仕事運や健康運を上げる時ね、今。何か、あんたの線てぐねぐねして、見たことがない線してるのよね。運気が乱高下する妙な線、何度見ても、変わった手相してるね」

「そう、ありがと」

「誉めてないけど、そのバイタリティは必要」

「で、私はやっぱり、金持ちと結婚するの?」

「まあ、そうね、あんた、金持ちなんでしょ?同類のタイプと出てるから、たぶんね」

 どきりとしたのは、相手を思い浮かべたから。まさか・・・

「ううーん、それより、あんた、気をつけなさい」

「うん?」

「今は分からないけど、あなたの人生を大きく変える、そんな出来事が起こるわ、特に上、上からのものに注意なさい」

「上?って何?」

「分からないけど、大きな転機になるし、もしかしたら命に関わるかもしれない」

「ええっ・・・げ、何があるっての?」

 野天の占い台の上空なんか、青空しかない。

 空虚な空間、ただの青空を見て私は意味が分からないまま、いつの間にか、そのことは忘れた。




「まったく、くそいまいましい」

 部署に戻って、私は書類を机に叩きつけた、かもしれない。

「お、おい。沢島、荒れてんなあ。どうした?三時のおやつ、食いっぱぐれたか?」

「どうもこうもありませんよ。どいつもこいつも、書類の不備ばっかりで」

 何度来ても、俺の気持ちは変わらないから・・・

(くっそ) 

 高校を卒業しても、なんで、あの伊藤エリカの顔を見なきゃならないのよ。

「あー、また、営業課の下川さん、記入箇所、書き入れてない。ハンコも押してない」

 ちょうど、書類を持って来た、地味な営業社員に私は思いっきり文句を言った。

「あ、ごめん、忘れてた」

「忘れてたって、何度目ですか。何度も何度も、忘れていたら、忘れていたっていいますか?この書類、月末越したら、申請が翌月扱いになるんで、困ったことになるんですよ?」

「あ、ああ、ごめん。おお、こわ。今日、やり直して持ってくるから。勘弁してくれよな?」

 忘れっぽい営業の中年男性に注意していたら、周りがまあまあ、と慰めてくれた。

「ちょっとどうした、沢島さん。そんなに怒って、妙に、噛みついてるわね」

「ええ、すいません。怒っているわけではないんです。こういう性格です」

「沢島さんに怒られるなんて、あの人らが悪いんですよ。何度言っても必要な書類持って来なくて。沢島さんはいつも丁寧に言ってますよ。沢島さんは悪くない。忘れる、あの人らが悪いです」

「ありがとう、梅香さん」

 私の今の部署の上司である佐々木係長は、男顔負けのしっかりした中年女性で、オシャレもセンスがあって、美魔女。私らの若手の中ではセンス係長でこっそり慕われている。

 私の同僚で富山梅香は、年も近いぽっちゃり系の事務員。

 ハゲ頭の部長は、河田部長。子だくさんの疲れた中年おじさんだが、仕事ははっきりと言う人で、厳しい一方、誰からも信頼されている。

 この部署の職員には、最初、何が来た?という目で見られたけど、共に働くうちに打ち解けて、全員、私を頼りにしてくれるし、信頼してくれて、親切にしてくれる。

 それは私が、少々変り者であったとしても、毎日朝から夜まで真面目に勤務する姿を見せているからだろう。そして誰よりも優秀で、皆を率いているから、頼りにされているのだ。さすが、私。

 この他が問題。とくに私の高校時代の同級生が全員。

 まったく、どいつもこいつも。

 この、この、この。

 とデータをパソコンで打ち込む。私だって社会人。人に当たり散らし、噛みつき、怒り散らしたら、逆に足元すくわれるのを知ってる、

 だから、会社での私の噛みつきは、主にパソコン相手だ。

 かつては噛みつき犬と呼ばれた私も、今では噛みつくのはパソコン。

 寂しいような、悲しいような・・・

 私を誰だと思って?この超お金持ちの沢島小夜子と知ってのこと?

(昔はあれだけのことがよく言えたものだでも、今だって、あの女に・・・・)

 この、このこの、この野郎。

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