第3話:わ〜なんか昭和初期みたいな話。
かくかくしかじかの事情で僕はマンピーちゃんを僕に家に連れて帰った。
腕に傷を負っていたので、まずはすぐに消毒液やら包帯やらで傷の手当をして
あげた。
「ごめんね、迷惑かけちゃって・・」
「遠慮しなくていいからね・・・ここにいれば大丈夫だから」
親子ゲンカとは言え、あの本格的なバトル・・・それぞれの家庭の事情って
あるだろうけど・・・。
僕んちは親父とふたりっきりってこともあってか仲がいいほうかな。
それに親父は借金もないし博打はやらないし・・・もめる要素ゼロだよな。
「あのさ、立ち入ったこと聞いていい?」
「うん、いいよ」
「なんで人間界に引っ越してきたの?・・・もちろん君一人じゃないんだよね」
「ご家族と一緒でしょ?」
「そうね・・・あの親父のバカが・・・借金作って首が回らなくなったの、で、
ご多聞に漏れず借金取りに追われて・・・夜逃げ同然で人間界に逃げて来たの」
「そうじゃなかったら、まだ私の世界にいたと思うよ」
「まったく迷惑な話・・・」
「あ〜なんか昭和初期みたいな話・・・って聞いた話だけどね」
「お母さんも、あんなロクデナシ親父と別れちゃえばいいのに、あんなのでもいないと寂しいらしくて・・・情が湧いてるんだね・・・夫婦のことは私には分かんない」
「はあ?・・・で、マンピーちゃんは兄弟姉妹はいないの?」
「妹がひとり・・・小姑みたいにクチうるさいのがいるよ」
「空くんは?・・・兄弟は?」
「僕は一人っ子だよ・・・お父さんは仕事で何日も家を開けることが多いから
一人暮らしみたいなもんかな?」
「だから、遠慮しないでゆっくりしてってくれていいからね」
「でも、電車の上空でのあのバトル・・・本格的だったよね、戦ってたのがお父さんだって誰も知らないから、警察に通報されちゃうよ、ああ言う目立つことはやめたほうがいいよ」
「うん・・・なるべく人目につかないようにするから・・・あまりに腹が立った
から・・・あのバカ借金背負ってるくせに、また博打に手を出そうとしたから、
つい・・・ああ・・・でももう少しで倒せたのに・・・」
「倒せたって・・・血の繋がったお父さんでしょうが?」
「ああ言う親父がひとりいたら家庭が崩壊しちゃうから」
「ダメだよ過激なことは・・・マンピーちゃんだって怪我してるし・・・」
「あ〜ちょっと油断してただけ・・・でも次は大丈夫、私には、とりあえず
ウィップがあるから・・・」
「ん?・・・なに?そのウィップって?」
「長〜いムチのこと」
「伸びるとお月様までだって届くよ」
「って言うかムチにも棒にもなるの・・・普段は私の耳に入ってるんだけどね」
「お〜孫悟空の如意棒みたいじゃん」
「誰それ?」
「ああ・・・いい、説明するの面倒くさいから」
「月まで届くムチってすごいね・・・しばかれてみたいな、ああ〜女王様〜って」
「空くん・・・どM?」
「そうだけど・・・ああ、なんかマンピーちゃんSMの女王みたいだな?」
「SMの女王ってなに?・・・それエッチいやつでしょ?」
「まあ、私もエッチい部類に入る種族だけど・・・けどSMと混同されちゃうと困っちゃう」
「見た目ほどエッチくないよ私」
「いや・・・そんな格好で見た目エッチくないっておかしいでしょ?」
「私の国だと女性は、みんな何も身につけてないの・・・この衣装は人間界に滞在するために着てるだけ、だからエッチくないからね」
「家では女性も男性もみんな裸だよ」
つづく。
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