二話 灯台下暗し

薄々分かってはいた、この学校に通うようになってから見た目のせいで物好きな人以外と話せていない。

正直男友達が欲しい、自分としてはこのセーラー服も髪型も意外と気に入っているんだが、やっぱり受け入れられるのを待つだけじゃ友達は正直できない。

けどマイナスだけじゃなかった、鶴谷さんと言う話し相手ができたことだ。鶴谷さんは僕が言った未来が見えるという言葉も真っ向から信じて、男友達を作る方法も一緒に考えてくれる なんなら最近じゃ鶴谷さんと話すのが楽しくて学校に行っている。

今だって放課後二人で残って駄弁ってる。

「やっぱさ、自分からいろんな人に話しかけて、今のイサオくんを受け入れてくれる人を探すしかないよね~」そうは言われても

「クラスの全員に話しかけたよ」

「うん知ってる、そのおかげで前より一段とクラスメイトとの距離ができた気がするよ」そうだ、一時期僕は何を血迷ったのか

クラスメイト全員に話しかけ全員に引かれた、今もその余波は残っている気がする。

「斯なる上は他クラスに突撃だわこれしかない」

「これで二の舞と化したら本に僕の居場所はホントに消えるよ」

僕が冗談混じりに本音を言うと鶴谷さんは

「なに弱音吐いてる!同学年も7クラスあるんだよ!最悪多学年にも突撃すればまだまだ人は居る希望はあるはず」

"はず”なんだよな

「でもさ、イサオくんの要望も大概じゃない?ただの同性として見てくれる人って正直今の見た目じゃ名前以外男子要素ないんだよなキミ強いて言えば運動神経が良いぐらい」

「分かってるよそもそも違和感ないってよく言われるから姉のお古を何だかんだ着続けてるんだもん、いつか着れなくなる前に」

「罪なやつだな 知ってるかい?君の見た目に恋して近づいたら男子だと言うことに気づき今でも心に傷をもった者がいる事を」

しらん こんな愛想もクソもない仏頂面を好きになるそいつも大概だ

「それに べつ男要素が名前以外ないわけじゃなよ 当たり前に着替えだってトイレだって男側だし」

鶴谷さんは 分かってない君は何も分かっとらんよと机に肘をついた「今の容姿とやってる事がチグハグだからみんな困惑してるんでしょうよ。ま 正直時間の問題なのかなぁ あと二年もしたらどうせ背も伸びて姉のお下がり着れなくなると思うしね」

「その背が伸びるまでの二年をこの空気で過ごせと」

「そうだね でも良いんじゃない?とりあえず、自分で言うのもなんだけどさ。私はイサオくんとただの友達のつもりだよ」

面と向かって言ってくれると照れくさい

へー「そうなんだ」 嬉しい

「そうじゃなくて、このままじゃ私からの一方的なものじゃん」

「え えっと僕も友達だと思ってるよ」

鶴谷さんは笑ってる照れくさそうに

僕も同じ顔してたら良いな

「なんか、イサオくん表情のせいでずっと冷めてるように見えるけど結構一般人だよね」

「嬉しいような嬉しくないような」

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