三話 寮の同室
朝 寮暮らしの僕は二段ベットの上で目が覚めた、喉が乾いた水筒は確か空だ
面倒だがお茶を買いに行かないと
もう2ヶ月近くが経つのにまだ慣れきってない心細さを感じながら時計を見る 5時だ
下の段で同室の佐野くんはまだ寝ているし音を立てないよう降りるか、僕は手すりに手をかけ足を伸ばした 手すり冷たいな
起こさないよう佐野さんの様子を伺う、
彼について僕はよく知らない強いて言えば僕が体操着から制服に着替えようとすると不思議そうな顔をしスカートを脱ごうとすれば変な顔で目を逸らす
顔だけで口では言わないのが佐野くんの良いところだと思う。いつもごめん そんなことを思いながらスリッパを履き水筒片手に部屋から出ようとドアに近づいた
「一人で朝の寮内歩くのやだな」怖い
「相葉くん?」
びっくりした起こしてしまったか
「あの喉が渇いてさ ごめん起こして」
まだ起きたばかりだからかぼーっとこっちを見ている
「いや良いんだよどうせ起きなきゃいけなかったんだし」
「でも眠そうだよ」
「寝起きなんてみんなこんなもんじゃん」
佐野くんはベットから起き上がるとスリッパを履いた
「相葉くんお茶買いに行くの?」
「うん」
「じゃあ俺も行くちょうど水筒からだから」
「そっか」
僕は佐野くんを待って部屋のドアを開けた
佐野くんありがとう
ねえ
廊下を2人で歩いていると佐野くんが話しかけてきた。
「相葉くん髪括ったりしないの」
え 髪?
「それはなんで」
「いや最近髪の毛邪魔そうにしてるかしらさ ほら宿題してる時とか」
確かに最近は髪を放置しっぱなしだ
「そうか髪結んだほうが良いか」
「いや無理強いはしないけど てかなんで髪伸ばしてるのべつに……いや 」
佐野くんは押し黙った
やっぱり触れづらいのか
「いんだよ 言っても」
せっかく同室なんだしもっと砕けた会話がしたいな すると佐野くんは思い切った表情でコチラを向いた
「じゃあ聞くけどさセーラー服のために髪伸ばしてるの 別に短くたって良くないか」
それは
「最初はそんな思いもあったけど今じゃ 一々髪切らなくても良いのが楽なんだよ」
そのまま伸ばしっぱなだけ
「そっか そんなもんか」
なんだかスッキリした様な顔で下を向いた
「どうかしたの」
「なんか...こっちが勝手に気にしてただけで相葉くんがなにを着ようとどう着飾ろうとずっと相葉くんなんだよなってさ。確かにしょっちゅう散髪行くの面倒くさいわ」
佐野くんは何かつきものが落ちたように笑った 」そっか 気を遣わせるのか
逆に今までずっと気を遣ってくれてたんだ「やっぱり佐野くん良い人だよ」
「どした急に」
驚いてる
「いや別に、こう言うことは素直に言った方が良いと思ってるだけ」
とりあえずお茶と一緒に髪ゴムも買うか
「売店に売ってるかな」
「髪ゴム?」
「うん」
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