短編 夢見る優夢湖ちゃん
奏流こころ
第1話 優夢湖ちゃん
「はぁ…」
こんなに見てるのに。
こんなに応援してるのに。
こんなに想ってるのに。
「伝わらない…儚い…」
机に突っ伏すのだった。
※
大好きな
みんなに優しくて、信頼は厚くて、モテモテで…。
学校のアイドル的存在。
ファンクラブがあるとはいえ、私はそんなのには入ってない。
何故か?制限とか、いろんなルールがありそうで、守れるわけない。
フリーで、勝手に、陰ながら、応援してる。
校内ミス&ミスターコンテストがあって、彼は3連覇がかかっている。
今回は強敵かつ次世代ミスターと名高い1年生がいて、どうなるのか分からない。
1日1票の投票は開始されていて、私は毎日剛生君に投票してる。
中間発表では僅差で1位剛生君、2位1年生となっていた。
あと2日…どうなるのか…。
※
開票当日。
文化祭の場で盛大に発表される。
ドキドキしながら私は体育館に居た。
剛生君…剛生君…剛生君…
両手を胸辺りでギュッと握る。
「開票結果が出ました!」
司会のその一言で会場内のボルテージは上がった。
女子から発表されたが、私の耳には残らなかった。
「続いて男子のミスターを発表します!」
黄色い歓声が上がった。
10位〜4位までは一気に発表された。
剛生君の名前はなし、てことは3位以内。
きっと1位だ、お願い1位と言って。
3位が5分かけてから発表され、名前は出なかった。
あの1年生も呼ばれていない。
てことは、一騎打ち。
「では1位の人に司会の僕は握手をしにいきまーす」
ドラムロールが始まり、その音が場内に鳴り響く。
ため方上手の司会者、2人の前を行ったり来たり。
その度に、それぞれのファンが黄色い歓声なのか悲鳴を上げる。
10分が経過しただろうか。
司会者は真ん中に立つ。
「栄えある1位は…!」
ドゥルルルルルルル…ババンッ!!
「おめでとう!
「っしゃああああー!!!!」
「「「キャアアアー!!!!」」」
目から涙がぽろぽろ流れたのだった。
※
「んぅっ…」
優しく頭を撫でられて眠りから覚めた。
「ゆめちゃん起きたね、帰ろう」
あっ…愛しの…。
「た、剛生、くぅん」
「どうした?大丈夫?」
夢だった…。
現実は、私の彼氏。
はぁ…安心した。
短編 夢見る優夢湖ちゃん 奏流こころ @anmitu725
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